2009年06月21日

朱鞠内湖のネイチャー度に感動する

今日は美深というところに、札響の特業(*)でカルテットで行ってきました。
美深は旭川のさらに北の士別さらに北の稚内の手前にあります。
遠いですが日曜だったので高速は終点の士別剣淵まで乗っても1,000円でほくほくでした。(通常は4,000円くらい)
2時からの1時間プロだったので、帰りに朱鞠内湖に寄ってきました。
朱鞠内湖は日本最大の人造湖で、原生林の入り組んだ地形に水が入り込んだ感じの湖です。
人造湖とは思えないほどネイチャーな雰囲気です。この辺は日本最低温の地でもあって、冬はマイナス40度以下になることもあります。
近くに『−41.3度の地』という看板がありました。
と、訳知り顔で書いてはいるものの、湖をちゃんと見たのは今日が初めて。
夏にキャンプセットを持ってカヌーを乗りに行く予定なので今日は偵察です。

今まで仕事で近くを通るものの、アウトドア派になったのは最近なので、じっくりと見ることなく通り過ぎてました。
で、今日はキャンプ場やカヌーポイントを探して周ったのですが、あまりのキレイさにびっくりしました。
むちゃくちゃ綺麗!! 感動〜〜〜〜! この感動を伝えたい!
もうみんな知ってるのかもしれないけど、それでもいいから伝えたい! とにかく人にしゃべりたい! 

写真も沢山撮りました。みんなーーー、見てくれーーー!
まず1枚め。
朱鞠内1

【↑】これは上から見たところ。
綺麗でしょ〜〜〜。この入り組み具合がいい感じです。
さあ、カヌーに乗ってください。と言わんばかりの地形とネイチャー度です。

朱鞠内2

【↑】そしてこれ!!
どうです! なんかシベリウスのCDのジャケットにしたい風景ですね〜。
こんな風景が日本にあるのかーー。 
仕事で北海道じゅう周ってるけど、今まで知らなかったなんて不覚。

朱鞠内3

【↑】で、岸に降りるとこうですよ!
どうです! この映りこみ! この自然! 鳥と蝉の声がすごい音圧です。
しかも、人ぜんぜんいない。日曜なのに。

朱鞠内4

【↑】そして極めつけはこれです! 椅子でも出してボーーっと眺めてたいです。
いや〜〜〜〜。なんつーか、無人島とか標高何千メートルの山じゃなくて、札幌からは遠いとはいえ車で行けて、
施設もそれなりにあるオートキャンプ場ですよ。こんな場所があるんですね。
感動しました。(最近年のせいか少し感動しやすくなってるかも・笑)


で、ふと見ると、三脚にカメラ(CANON 5D)がセットしてあって放置されてます。
あたりに人影はなし。近づいてみると5秒おきくらいにシャッター音がしてます。
どうやら誰かが微速度撮影しながら場所を離れているようです。食事でもしにいったのでしょうか・・・。(下の写真)
朱鞠内5


しばらくしたら、YouTubeで「微速度 朱鞠内」で検索してみよ・・(笑)。

それではみなさんごきげんよう。



(*)特業:'特別業務'の略。札幌交響楽団の業務のひとつ。
社会貢献の一環として、またはオーケストラ演奏会の販促活動等で行う演奏会。
通常のオーケストラ業務とは別に、小人数による室内楽で行う。
  

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2009年06月19日

YouTube動画でIT革命を考える

最近YouTubeでみつけて素直に感動した動画です。
7分間の個人制作アニメですが、興味のある方はどうぞ。(下の画面右下から2番目のアイコンを押してフルスクリーンモードでの鑑賞をお薦めします)


2044年4月4日16時44分44秒というわけですね・・・。
押しつけがましいシュプレヒコールや、説教調の論説よりずっと説得力があります。
一昨日みつけて、その時のアクセス数は340くらいだったのに、YouTubeの”お薦め動画”になった途端、たった3日間で10万を越えてる・・(゜ロ゜;
2ヶ月位前の週刊現代だったでしょうか、”戦後世界を変えたニュース・ベスト1”というタイトル(うる覚え)で、各界著名人が語っていました。冷戦集結とかオウム真理教とか911テロとかあったのですが、田中真紀子が唯一、IT革命と言っていました。
田中真紀子がどうとかいう話ではないのですが、3日間で7分間の個人制作アニメが10万人の人に目に触れるという事実。これは世界の政治経済とか暮らし向きのありかたや人類の価値観を大きく変える出来事だったと思います。ひょっとしたら冷戦集結を凌ぐビックニュースだったのかもしれません。

森首相が「アイテー革命」と言っているのに頷いた人は少ないと思いますが、インターネットや携帯電話が一般化して10年で、私たちを取り巻く環境は一変しました。
一方で、ネットの恩恵に浴して情報や通信手段を持てるものと持たざるもののIT格差も、取り返しがつかないほど大きく広がりました。
IT大貧民とIT大富豪(仮称)の出現です。
私は自己評価では、IT平民とIT富豪の間くらい・・かな。

そういえば、先月札響の利尻島公演がありました。行きのフェリーでトランプの”大貧民”を久しぶりにやりました。修学旅行みたいで盛り上がりました。
”大貧民”はローカルルールが数多く存在していることでも有名ですが、『大富豪が負けた場合は例外なく大貧民まで落ちる』というローカルルールはシビアです。
IT大富豪の代表格としてホリエモンと村上ファンドの村上世彰が挙げられると思いますが、彼らはこのローカルルールをまさに地で行ったと言うべきでしょう・・。
でもホリエモンは私は応援しているのでまた大富豪になって欲しいと思っています。

さて、もう一つ、最近YouTubeにはまっている私が超感動した動画をご紹介します。この動画は有名なのでご存じの方も多いはず・・。


微速度撮影という技術で撮られた映像です。
これはよく理科の時間に朝顔の発芽の映像とかに使われる方法ですね。
上の動画は美しくて何度も見ました。特に5分46秒からのシーケンスは死ぬほど感動的です。そして驚くことにBGMも自分で作曲して演奏しているようです。

最初の動画といい、彼らはたぶんプロではないと思います。仮に関連する仕事についていたとしても、これらの動画は1年とかかけて無報酬で作っているわけで(これをきっかけに世に出たいという野心が仮にあったとしても)、そこが凄いです。
インターネットがなければ、YouTubeがなければ、こんな素晴らしい動画を制作してもせいぜい身近な人に見てもらうくらいで、きっとこれだけの動画を制作するモチベーションは沸かないでしょう。
こういう多くのクリエーターを産み出して、都会と田舎の分け隔てなく私たちの感性を豊かにしてくれているわけです。これはまさにIT革命の賜物ですね。私はむしろIT革命10年にして結実したこういう点を評価したいです。

私も最近キタラの3階席から飛び降りたつもりで購入したRICHOの高級コンデジCX1(インターバル撮影ができる)を使って超早起きして微速度撮影で”札幌の日の出”の撮影にチャレンジしちまいました。失敗したけど・・・・。

それではみなさんごきげんよう。  
Posted by arakihitoshi at 23:49Comments(0)TrackBack(0)

2009年06月17日

ラスト・オーケストラサムライ

「季刊ゴーシュ」連載の”クラヲタへの道”。
2008年冬号と2009年春号にラスト・オーケストラサムライ1、2を掲載しました。
このたび、春号のネット掲載禁止期間が解けましたので(笑)、まずは1から掲載します。

このお話しはですね〜〜、小説仕立てではありますが実は切実です。
オーケストラの男女比の問題は、業界では20年ほど前から社会問題化しています。
このままいくと、ラスト・オーケストラサムライを地で行く事態が遠くない将来訪れるでしょう・・。

札響ブラスで毎年コンクール上位入賞校の中学生たちと共演してるのですが、今年は上位3校の生徒が全員女の子でした。
ブラスで指導をしている札響管楽器奏者たちは、「20年後の札響の雛壇は女ばかりだよ・・」と苦笑します。
わたしの知り合いの中学校の音楽の先生たちは、「男の子たちの多くがブラスバンドを楽しめるほど精神的に成熟していない」と嘆きます。

クラシック音楽業界の危機感はここに至ってかなりのものになってきています。
あ、もちろん女性奏者がいけないっていう話しではないですよ。ひとりひとりの女性奏者は皆素晴らしいです。あくまで比率の問題です。男女の性差みたいな不毛な議論はする気はありませんから!・・念のため(^_^;)

では、そんな事情もお含みおきいたいだて、「ラスト・オーケストラサムライ」お読みください。


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『札響3ちゃんねる クラヲタへの道』
その12 『ラスト・オーケストラサムライ』。 


20××年某日。この日は俺にとって、いや、世界のオーケストラにとって特別な日だ。

朝、俺はいつものようにチェロケースを手にホールを目指した。
ドイツゲヴァー製の10kgあるチェロケースを片手で扱う所作は女には真似できない。
俺は馴染みの守衛の女性に軽くウィンクして舞台裏に入った。
既に多くの楽員たちが思い思いの場所でウォーミングアップをしている。
彼女たちは俺の姿を見ると、いつもより念入りに挨拶をよこした。
そう、今日は特別な日だ。俺はいつもと変わらない態度を装った。
彼女たちの髪型の変化や、新調した服を見つけてはセンスの良さを褒めた。
こんな他愛のない会話がセクハラなどと言われた時代もあったが、それは男が少しは強かった遠い昔の話しだ・・。

俺は楽屋の前に着くと、ドアに貼られた案内板を見て思わず苦笑した。
いつもは「男性」と書かれた案内板に、今日は俺の個人名が書かれていた。
これではまるで指揮者かソリストの楽屋だ。
たしかに、「男性」と書こうか俺の個人名を書こうが、今となっては同じ意味ではあるが。

この楽屋も昔は賑やかだった。
バカな冗談や無邪気な下ネタで笑いの耐えなかったあの頃が無性に懐かしい。
俺も歳をとったな・・・。
俺一人が使うには広すぎる楽屋で、無言で燕尾服の袖に腕を通した。
この動作も今日が最後だ。この燕尾は洋楽歴史記念館に寄贈が決まっているそうだ。
世界に現存する最後の燕尾服なのだ。

鏡に向かった俺は、ふと髭を剃る手を止めた。
不精髭か。それも悪くない。「世界で最後の男性オーケストラ奏者なのだから・・・・」俺は呟いた。
今日は俺が生れて70年を迎える日だ。そして定年退職で半世紀勤めたオーケストラを去る日でもある。
俺は顎を撫でて剃り残した髭の感触を確かめながら楽屋を後にした。

かつてこのホールの舞台は汗の染みこんだ燕尾に身を包んだ「漢(おとこ)たち」の大地だった。
弦が唸り、管が慟哭し、打楽器が炸裂した。猛々しいガクタイの漢(おとこ)たち・・・。それも遠い遠い昔の話しだ。

20世紀の終わり頃からだろうか。オーケストラから男性奏者の姿が急速に減っていったのは。
これといった原因も特定できず、なす術も無いままオーケストラは女性の職場へと変貌を遂げていった。

開演を知らせる2ベルが俺の物憂い感傷を中断してくれた。
お客にとっても男性オーケストラ奏者の姿は今日が見納めだ。
女性楽員たちに混じって俺が舞台に出ると、客席から微かな拍手が沸き起こった。
さあ、最後の男の姿だ。しっかり見てくれよ。
俺は燕尾服の裾を高々とはらって席に着いた。

※この物語は近未来SFファンタジーであり、私の思想信条とは一切関係ありません(汗)。

  
Posted by arakihitoshi at 01:48Comments(0)TrackBack(0)│ │『クラヲタへの道』 

2009年06月02日

古(いにしえ)の油田を見に行く

下の漫画は手塚治虫の「シュマリ」から引用させてもらいました。
この漫画は開拓初期の北海道を舞台にしたもので、当時の北海道の様子が「きっとこうだったに違いない・・」と思わせるに十二分な説得力で描かれています。
油田1
手塚治虫「シュマリ」より (あくまで「引用」の範囲なので著作権的にはオッケー、なはず・・・)

北海道で石油?
初めてこの漫画を手にした中学生の頃からこの記述は気になっていました。
その後、昔北海道に油田があったらしい、ということは分かったのですが、なかなか見に行く機会を作れませんでした。
江戸時代末期から昭和初期にかけて厚田〜当別周辺にはいくつか油田が存在していたそうです。(googleで検索すると詳しいサイトがかかります)

で、廃線・廃道ファンの私としては、期待でワクワクしながら草深い林道を掻き分けて油田跡を見に行きました。
油田2

『石狩油田八の沢鉱業所跡』とあります。
この産業遺跡は当別から厚田に抜ける五の沢林道という道の途中にあります。
googleマップ参照
上の地図の五の沢池(やたら趣のある人工池)のほとりを走る道を10分ほど入った場所にありました。

上の写真のように跡地には立派な記念碑(?)が建っており、しかも林道は舗装されています。そしてさらに昭和23年当時の鉱業所の案内板までありました。
うーん、このゴージャス感は鄙びた景色を愛する廃墟マニアとしては喜べないな・・。と思いつつ近くを散策していると、面白い現場を発見しました。

火気厳禁の看板の下では今でも石油(らしき液体)がブクブクと音をたてて湧き出ていました。
どおりで、この周辺一体はとても石油臭いです。
この景色には大満足でした。来た甲斐がありました。

鉱業所は当時は街になっていたようで、神社跡や学校の門なんかもありました。
さらに道なき道を登っていけば、朽ち果てた当時の施設なんかも見れるのかもしれませんが、蚊がたくさん集まってきて、しかも虫除けスプレーを持っていかなかったので、諦めることにしました。

今回は長年の胸の支えが取れてよい廃墟巡りでした。
それではみなさんごきげんよう。


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シュマリ (1) (手塚治虫漫画全集 (97))
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Posted by arakihitoshi at 12:10Comments(3)TrackBack(0)
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