本当の題名は「マエストロ、それはムリですよ・・・」。
話題の本です。
指揮者の飯森範親さんが音楽監督になって山形交響楽団と改革に取り組んだお話しです。
先月飯森さんがいらした時に舞台上で宣伝していかれました。
最近の山響の動きには注目していました。
私もフリー時代山響さんにはエキストラで呼んでいただいて随分お世話になりました。
当時の山響を知っている身として、最近の山響は一口で言ってとても垢抜けたなー(失礼!)と感想を抱いておりました。
なのでこの本はとても楽しみに読ませていただきました。
内容的には飯森さんの功績がアピールされ綴られています。
”ファックスや携帯で送られてくる山のような『飯森マニフェスト』”
”1%でも可能性があれば「NO」と言わない”
”「音楽家はサービス業です」が持論”
などなど、飯森さん語録が散りばめられ、それが”飯森イズム”だと。
そして企業経営にも役立つだろうと。(この本、本屋の経営コーナーに並んでいるそうです)
なるほど・・。と膝を打つ反面、一方の山響は・・、
”当たり前のことも出来ていない”
”自信がないからできない”
”負のスパイラル”
と、ダメダメぶりをこれでもかというくらいアピール。
この本は飯森さんが書いたのではなく(飯森さんは監修)ライターの方が書いているので、飯森さんの功績を引き立てるために必要なロジックなのかもしれないし、よくある手法ではあります。NHKのプロジェクトX的な雛形ドキュメントっぽい感じがしないでもないです。
しかし山響の楽員さんは存じあげてる方何人もいますが、演奏家としても人間としても志の高い尊敬に価する人たちです。もちろんダメダメであろうはずもないです。
彼らはこの本を読んでどう感じたんでしょうか・・。
特に本の中でダメダメ役を一手に引き受けているS藤次長さんに感想をお聞きしてみたいものです。
この本を読んでいる間、かつての札響の経営破綻と再建のプロセスと重ねていたのですが、組織の改革というものは、はたしてたった一人の英雄の力で成しえるものなのでしょうか・・。
札響の時はむしろ誰か一人の功績が際だたないように注意しながらマスコミ対策をしていました(それが唯一正しいと言うつもりはないですが)。例えば尾高さんなんかも自分一人の功績の様に報じられるのを嫌っていましたし。
そもそもダメダメ組織の中にたった一人パラシュートでマエストロが降りてきて組織改革をすべて出来るんでしょうか。
やはり「それはムリ」ではないでしょうか。
そこには皆が改革を望んで実行する意識や行動力とか、期が熟すための歴史とか、周辺の理解とか協力とか、いろんな要素が不可欠なのではないでしょうか。
飯森さんの功績はもちろん否定しないですけど、改革へのエールにちょっと水を注された気がしないでもなかった一冊でした。
でも、オーケストラ(特に地方オケ)に興味のある方には是非読んでいただきたい必読書だとは思いました。
さて、まったく話しは違いますが、というか違いすぎますが、最近癒されているお気に入り動画を二つご紹介します。
ひとつは「いとくとら」と書いて「いくら」ちゃんの動画です。
最近流行っているニコニコ動画の”○○を踊ってみた”系ですが、ウマ可愛さではダントツでしょう(踊りとスタイルがクラシックバレエなのも良い。リアル初音ミクみたいなのところも良い。)。そしてこのセンス!。まさに二次元殺しです。何回見ても癒されます。他にもあるので「いとくとら」で検索してみて。
最近顔出ししたのできっと近々ブレイクすると踏んでいます。
そしてもうひとつがこれ。有名な動画なので知っている人も多いはず。
笑のツボに入っちゃったお天気オネエサン。
謝りながら笑が止らないのが理屈抜きで癒されます(笑)。