ほくでんファミリーの演奏会であった。
尾高さんの指揮で知内単発という豪気な仕事である。しかも入場無料。
知内は大きなホールが無いので体育館での演奏であった。
体育館の裏には知内川というそこそこ大きな川が流れている。
鮭の遡上の真っ盛りであった。
川のあちこちで遡上する鮭が跳ね、川面にしぶきと波紋が広がる。
川縁や川底には産卵を終えた鮭の死骸が転がっている。
産卵を終えた鮭は”ほっちゃれ”と呼ばれるが、
味も悪く食べられることもなく放っておかれるとか、
そんな理由からきた呼び名なのだろう。
ほっちゃりの死骸は文字どおり放置され、白い腹を空に向けて腐り果てている。
海猫にさえ見向きもされない。果無くも無残な姿である。
北海道がアイヌ・モシリと呼ばれた頃は、
今の季節、遡上する鮭で川という川が銀色に染まったというから、
その結果おびただしいほっちゃれの死骸が、
食物連鎖と人間の嗅覚に与えた影響は、
それはそれは計り知れないものだったと想像できる。
さて、鮭が跳ね上がる決定的な瞬間をカメラに納めようと粘ってみたが、
人間が近づくと鮭は警戒してしまうのか、なかなか跳ねてくれない。
鷹とか熊なんかに捕まらないように、
川岸の動物から遠ざかる司令が、きっと遺伝子に刷り込まれているのだろう。
川の向こう側では沢山の鮭が賑やかに跳ねている。
川面の反射もあるのでPLフィルターを持っていなかったのも悔やまれる。
鮭の寿命は4年くらいだったと記憶しているが、
足元に転がる死んだほっちゃれの脳にも4年分の記憶があったのだろう。
鮭の記憶に思いを馳せ、深まる秋に長い冬の訪れを・・・
いかんいかん!(`口´;)
たかが鮭の死骸ではないか。危なく分別臭いことを言うところだった!
下の写真は”ほっちゃれ”の死骸とかろうじて跳ねてくれた鮭。

※11月6日追記
”ほっちゃり”と”ほっちゃれ”の2種類の呼び方があるという事が分かり、
検討の結果、”ほっちゃれ”に統一しました。