札幌人は意外と雪祭りに行く人が少ないようだが、私はほぼ毎年見に行く。
今年は寒かったため、雪像の雪はもちろん、路上や路肩の雪まで白く綺麗だった。
荘厳な大雪像は雪祭りの花形だが、私がつい注目してしまうのは、
大雪像の横のさらに片隅に、ひっそりと存在する制作者を記した看板である。
特に今年目と心を奪われたのが下の写真の「第11偵察隊」の文字。

偵察隊か・・・。何やら謎めいていてかっこいい。
「戦車大隊」とか「高射特科大隊」とかカッコイイ名称の部隊は沢山並んでいるが、
「偵察隊」のかっこよさはちょっと違うと思う。
敢えて他の業界に置き換えるなら、
医者の世界における「麻酔科」とか「病理学」などの基礎系、
江戸時代に土木工事を専門とし身分制度から解離した独自の地位を築いた「黒鍬」、
オーケストラで言うならヴィオラ、バストロンボーンあたりか・・。
彼らの特徴は、花形でないところで黙々と非常に専門的な己の職務をこなす・・。
要するに”渋い”のである。
調べてないので実際の第11偵察隊がどんな職務を遂行しているのが分からないが、
その名称から察するに、スパイ、斥候、諜報部、秘密情報機関、忍者、新撰組の監察・・、
といったアンダーグラウンドチックな名称が思い浮かぶ。
多分雪像作りにおいても、雪像を削るためのノミを完璧な職人技で削るとか、
観光客になりすまし、順路が一方通行になるようにさりげなく客を誘導するとか、
そういう地味だけどなくてはならない仕事に従事しているのだと思う。
今年の目玉雪像にオーストリアのフリンダース・ストリート駅があったが、
事前にオーストリアに潜入し、駅を詳細に調べあげたのも当然彼らだったはずだ。
有り得ないが、もし今回の大雪像が金○成像だったとしても、
それが決まった瞬間北に潜入し、像を入念に調べあげたに違いない。
彼らはそういう人たちである。と思う。
雪像作り本当にお疲れ様でした。と心から言いたい。
真駒内会場も去年で最後だったし、大通り会場からも自衛隊制作の雪像が減り、
寂しさと当時に雪祭りの行方に一抹の不安を感じる。
4丁目の「ナルニア国」では、
制作:札幌市大雪像制作団 協力:陸上自衛隊第18普通科連隊 とあったので、
自衛隊の雪像作りの技術が市民団体に継承されていくプロセスなのだと思った。
うまくいってほしいと思う。
P.S. ♪さっぽろスノーフェスティバル!さっぽろスノーフェスティバル!・・
という連呼型のテーマソングが一昨年あたりから会場で大音量でガンガン流れていたが、
今年は無くて良かった。観光地やスキー場などで大音量で流れる歌謡曲同様、
一種の環境破壊だと思う。あれはよした方がいいと思う。
もう一つP.S. 若い女性二人組のユニットがイベント会場で歌っていたが、
ギターを持った一人はTシャツ一枚、しかも腕まくりという姿だった。
見ているだけで寒いし、彼女の健康も心配だ。
仮に本人の希望でも主催者は止めさせるべきだと思った。
最後のP.S. 今年は特にボランティアの存在が目立った。
カメラのシャッターを押す係りの人や、グッズの売り子や、カイロやティッシュを
配ってくれたり・・。 ありがたく頼もしかった。