【プロローグ】からのつづき・・・
10年ほど前、子供も生れるので以前の街中のマンションから静かな環境の中古マンションに引っ越したわけです。
このマンションには以前友人が住んでいたことがあり、周辺の環境や近隣の部屋の音が静かな事は知っていました。
しかしながらマンションを購入するにあたって念の為に、空き室だった部屋に1日中籠り、近隣の生活音などに耳をそばだて様子を数回に渡り調査しました。
実際に、近隣の生活音はほとんど聞えませんでした。
また調べた結果、このマンションの壁の厚さは18cmでした。分譲マンションの標準は15cmですから、厚めと言えると思います。施工も評判の良い大手工務店なので問題はないと思います。
んで、このマンションを購入し、レッスンや練習のために以前住んでいたマンションに入れていた防音室も移転したのです。
防音室はカワイ楽器の「ナサール」という商品で、仕組みはヤマハの「アビテックス」と同じで、マンションの部屋の中に躯体に傷を付けずにもう一つ部屋を組み立てて入れるというものです。
6畳の部屋に梁なんかを逃がして作るとだいたい100万〜150万円くらいでしょうか。安くはないです。
ただ防音性能はかなり高いです。
「ナサール」や「アビテックス」の標準タイプの防音性能はマイナス35dbくらい。マンションの躯体の防音性能と合わせると下記のかんじです。
私たち職業音楽家が出す弦楽器の音はだいたい80dbくらい。
80db-35db=45db
普通の会話が50〜60dbですから、マンションの躯体の防音効果を考慮すると近隣に迷惑を及ぼす可能性はほとんどない、と考えていいと思います。
ただし、チェロの場合は音域が低いうえにエンドピンを床に固定するので、防音室が標榜するマイナス35dbからは若干数値が下がる可能性も視野に入れる必要があると思います。
さらに、以前住んでいたマンションは幹線沿いで車の騒音などうるさかったのですが、移り住んだマンションは閑静な山沿いの住宅街にあり、深夜ともなると沼の底の様に静かです。
周囲の環境音が低いと同じ音源でも相対的に大きな音に聞え気になります。
なので、常識的な時間(これが難しいのですが)、夜の11時以降は練習を控えることにしました。
実際に移り住んでから弾いてみると、防音室の中の音は周囲には殆ど漏れていないようです。
これで安心。当然近隣の住人からの苦情もなく、それどころか近所付き合いは極めて良好です。
この快適な住環境が2年間続きました。
そしてある日異変が起きたのです・・・
【つづく】