言葉なんてもともと時代とともに変化していって当たり前の物だし、変化を捕えてそれを「乱れ」とネガティブに考える必要はないのでは、と思うのです。
言語はだいたい500年を経ると経年変化によって通じなくなるという話しをどこかで読んだことがあります。
この説を信じて考えると、2008年の今に生きる私たちが、タイムマシーンに乗って昔に行ったとして、徳川家康とは辛うじて会話できるけども、足利尊氏になるともうチンプンカンプン・・、ということになります。
500年と言うと気が遠くなるほど長い気もしますが、よくよく考えるとそうでもないです。30年1世代として約17世代。
さらにくどくど考えると、親と自分は500分の17=100分の3.4
おじいさんと自分になると、100分の6.8
っていうことは、50分の3.4で、約15分の1。
つまり、おじいさんと自分の間の時間のたった15倍でチンプンカンプン、ということです。
なので、昨今世間でよく言われている「全然」を肯定の意味に使うのはおかしい、とか、レストランなどで耳にする「〜でよろしかったですか?」という使い方はおかしい、とのたまう事の方がよっぽどおかしくて、このくらいの速度で言葉は変化していかなくては、たった500年でチンプンカンプンになる事など不可能であります。
こうして変化していって、淘汰されたものが次世代の日本語として生き残っていくのでしょう・・。
もっとも、これらはあくまでも「日本語の変化」を言ったものであって、気配り不足によって、相手を不快にしてしまう言葉づかいとは全く違います。
違和感を覚える言い回しと、不快感を感じる言い回しは明らかに違って、後者は変化ではなく、単に話し手のコミュニケーション能力の不足によってもたらされるものだと思います。
なので、これらは明確に区別するべきであって、一緒くたに”乱れ”として扱わないように注意する必要があると思います。
ここが判断の難しいところでもありますね。
さて、前置きが長くなりましたが・・、
今日のテーマは上記の自己啓発本まがいの私の陳腐な自説を披露することではありません。
私が言葉の変化を否定する立場ではない、というところをご理解いただいた上で、みなさんにある言葉使いに関するご質問です。それが今日のテーマです。
最近(少なくとも私が気づいたのは最近)、音楽家の業界で、自分の生徒を「お弟子さん」と言う人が目につきます。
例えばこんな感じです。
「こないださ、俺のお弟子さんが買う楽器を選んであげたんだけど・・・云々」
「お弟子さんから電話だ・・。ちょっとまってね」
他人の生徒なら違和感は感じません。
「あなたのところのお弟子さんで○○さんっていう人いる?」
などという具合に使うことはよくあります。
自分の生徒をお弟子さんと言うのおかしい、と思う私の違和感は、たとえば、自分の子供を「うちのお子様が」とか、小学校の先生が「うちのクラスの生徒さんが」という言い方はおかしい、と思うのと同じ違和感です。
こういった、いわゆる謙譲語の使い方は最近特に難しくなってきている気がします。
ここ何年かで病院などの医療関係が「患者様」という表現をするようになりましたが、あれは逆に丁寧すぎて、取ってつけたような不自然さを感じます。
例えば、セールスマンが「私どものお客様で○○様という方がいらっしゃるのですが」というのは自然です。でもお客相手に会話しているわけですから、杓子定規に謙譲語を使うとすると、実際に目の前にいる客を立てて、「私どもの客で○○という者がいるのですが」という言い方も成立する気もしますが、現実には絶対にあり得ません。
小学校の先生が「うちのクラスの生徒さんが」はおかしいと言いましたが、例えば社会人相手の資格予備校なんかで、「私どもの予備校の生徒さんで」くらい言っても全く違和感感じませんし、実際そう言ってると思います。
ならば、私たち演奏家が自宅や音大などでレッスンをしているとして、その生徒をさして、お弟子さん、と言っても自然なのかもしれません。レッスン代を貰っているわけですし、生徒であると同時に”お客様”でもあります。「生徒」あるいは「弟子」などと呼び捨てにしては失礼に感じる人もいるのかもしれません。
”教える側の意識の違い”と言われてしまう気もしますが、実際は私も含め、そこまで考えて言葉を発しているとも思えません。謎は深まるばかりです。
ちなみに、「お弟子さん」と表現する人たちの私が知るかぎりほとんど全ての人は、話す相手が同業者だろうと一般人だろうと、対象の生徒が大人だろうと子供だろうと、全く区別することなく「お弟子さん」と言います。
そこでみなさんにアンケートです。
私たち演奏家が自分の生徒を「お弟子さん」と言って話しているのを聞いて、あなたは違和感を感じますか? それとも感じませんか?
アンケート結果を見て、今後の私の身の振り方を考えたいと思います!(笑
※自分の生徒を「生徒さん」という言い方もありますが、今回は無視します。あくまで「お弟子さん」が自然かどうかのアンケートです(`▽´)。
「お弟子さん」違和感度アンケート
『あなたは、演奏家が自分の生徒をさして「お弟子さん」と言っているのを聞いて自然だと思いますか? それとも違和感を感じますか?』
<投票は終わりました>
・自然だと思う
・違和感を感じる
結果を見る
※投票&コメントありがとうございます。
(但し、私が読んで「嫌だな」って思ったり、「それって毒ありすぎ違いますか?」って思ったコメントは削除してます。
あしからず。(o^-')b )