2008年11月30日

ブルネロ リサイタル

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ランキング1位になってしまうと、あとは落ちない努力ですね。今までとは違うモチベーションが要求されます。で、今日は”モチベーション”がテーマです。
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マリオ・ブルネロのリサイタルをキタラ大ホールに聴きに行きました。
いやー、とても良い演奏会でした。心から楽しめました。

プログラムは、
バッハの無伴奏チェロ組曲1番、3番、5番、
ヴィヴァルディーのチェロソナタイ短調、変ロ長調、ホ短調。
バッハとヴィヴァルディーが交互に演奏されます。

バッハの無伴奏3曲だけでも通常は演奏会が成立するのに、それにヴィヴァルディーのソナタ3曲?
「どんだけ長いプログラムよ?」 と思ったのですが、バッハは全て繰り返しなし、テンポもかなり早かったので、全体で休憩を入れても1時間50分で収まっていました。

演奏もさることながら、秀逸だったのは演出です。
舞台上にはブルネロと、ヴィヴァルディーのソナタを伴奏するリュートとチェンバロと通奏低音チェロの4人が登場します。
皆それぞれの席に着くのですが、バッハを演奏するときは会場は暗転され、右下からのスポットライトでブルネロ一人が浮かび上がります。
キタラの壁面に巨大なビルスマの陰がユラユラと映し出されます。
一方ヴィヴァルディーでは舞台の照明がつき会場は明るくなります。4人のアンサンブルは非常に息の合ったものでした。

バッハとヴィヴァルディーの音楽的な暗と明、内向的と開放的、深刻さと陽気さ、といった対比が舞台演出によっても浮かびかがった気がしました。


実は、こういう超有名なソリストの演奏会、聴きに行くのがちょっと億劫に感じることもあります。
あくまで私の場合はですが、偉大な演奏家には2種類のタイプの印象を受ける場合があります。
ひとつめは「こんな上手なチェリストがいるなら、なにも俺が無理してチェロ弾くことね〜な・・」とぶちのめしてくれるタイプ。
ふたつめは、「こんな風に弾いてみたいな〜、いや、ひょっとして弾けるんちゃう?」と勘違いでもいいから思わせてくれるタイプ。

ビルスマは後者でした。
なので、家に帰ってくるなりチェロケースをバチャバチャと開けてチェロを取り出し、無伴奏を弾いてみました。

すると奇跡が! 起きませんでしたが(笑)、少しパワーをもらえた気がしました。

この「パワーをもらう」というのは、自分の演奏意識に向上心とモチベーションを与えてくれる、という意味なのですが、実はこの向上心とモチベーションの維持は、なかなか難しく努力を必要とします。

まあ、多少愚痴っぽい話しになりますが、例えば鉄道が好きで運転士になった人も、料理が好きで料理人になった人も、子供が好きで教師になった人も、何十年も同じ仕事を続けていくうちに、「こんなキツい仕事はない・・」と仕事をネガティブに考えることはあると思います。好きで始めた仕事でも、なんの努力や工夫もなしに、何十年経っても毎日やる気満々!ということはないのではないでしょうか。

オーケストラ演奏家も例外ではないです(少なくとも私の場合は)。
若い頃はまだいいのですが、中堅になってくるとこの先、社会的地位や演奏上の実力が大きく変動することは、はっきり言ってないです。課長、部長、取締役、と出世していくこともないわけですし、このまま努力をつづければ、いつかはベルリン・フィルの首席奏者に・・ということはもっとないわけです。
やがては独立して開業・・・、という話しでもないですし。

では、どうやって演奏のモチベーションを維持しつづけるか?
オーケストラにあっては、優秀な指揮者の元で演奏することが、演奏のモチベーションを保つ上で何より必要なことでしょうし、あとは人によって、シンドイけど室内楽を組んだり、レッスンしたり、活動に広がりを持たせて色々工夫していると思います。
私の場合、仕事で右脳ばかり酷使しているので、休む代わりにこうしてブログを書いたり、最近は趣味で資格のおベンキョーに勤しんで左脳にも負荷をかけたりしてみてるわけです。

そして今回のように、世界超一流の演奏に触れる機会も大切になってくるわけですが、ただし、ぶちのめされるリスク付きの諸刃の剣ではあります・・(笑)。

アンコールは3曲。アンサンブルの4人が仲良さそうに演奏してるのも印象的でした。


Posted by arakihitoshi at 17:23│Comments(6)
この記事へのコメント
5
「2種類のタイプの印象」、共感いたします。
たとえそれが偉大な演奏家(と呼ばれる方)でなくても感じます。
どうしてそのように感じてしまうのか、私にはわかりません。
でも言葉などではあらわせない。それが音楽の凄さだとも思います。
Posted by アマチュアびよら弾き at 2008年11月30日 23:37
うんうん。不思議ですよね〜〜〜。
札響で共演するソリストを伴奏しててもよく思うのですが、明らかに2種類いる気がします。
ヨーヨー・マは大好きで30年来のファンなのですが、リサイタルではぶちのめし系に感じました。謎です。
Posted by あらき at 2008年12月01日 12:11
サラリーマンも同じですね。上司にも2種類いるし、サラリーマンの10人に1人位しか課長になれないし、20人〜30人に1人しか部長になれないし、普通のサラリーマンが日々モチベーションを持つのは大変なことだと思います。
Posted by よこおじゅん at 2008年12月01日 23:56
はじめまして。ランキングから参りました。
文の途中から、ブルネロがビルスマに変身しています。

ちなみに私のチェロの先生は、中高生のスゴイ演奏に打ちのめされるそうです。
Posted by レイトスターター at 2008年12月02日 16:39
がははは! ホントだ! 確かに変身しちゃってますね!
ビルスマとブルネロ・・、なんか似てません? 響きが・・。

ちなみに私も中高生の超さらってきた演奏にレッスンでたじたじになることあります。
でも!、それでも(少なくとも表面的には)ひるまないのがプロのシノギってやつです!(笑)
Posted by あらき at 2008年12月03日 01:30
そうそう、2種類、確かに!

私の場合は自分がプロではないからでしょうが
カンチガイの場合が多いですかね???
いや、違うかなぁ。

勘違いではなく単にホレボレ〜〜〜として終わりかなぁ。
少なくとも自分が音楽で生活しているわけではないので
プロの演奏家の演奏を聴いて、ぶちのめされることはないです。

そのかわりアマチュアの演奏でぶちのめされることは多々ありますが…
大学受験の時点で
音楽のプロ(広〜〜〜〜い意味での)を目指すことは選ばなかったわけですが
選んでいたら、今頃ぶちのめされまくっているでしょうねぇ
Posted by Traviata at 2008年12月06日 00:27

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