2008年12月27日

ハッピー・クリスマス

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長〜〜いクリスマスが終わりましたね。日本中がクリスマス一色の1ヶ月間。なんとなく、お菓子屋とおもちゃ屋とラブホテル屋にまんまと乗せられてる気もしますが・・・(笑)。今回はそんなお話しです。
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【ハッピー・クリスマス】(※この物語は近未来SFファンタジー小説であり、なにもかも全てフィクションです)

「17:00か・・・」
俺は壁の時計を見あげて、デスクに向かう部下たちに聞えるように少し大きめの声で呟いた。
いよいよ明日から12月である。
俺が札幌市クリスマス課の課長に就任して明日で半年になる。
課長として初めて迎えるクリスマスである。
市役所では花形部署の課長に栄転、と同僚たちから羨望と妬みの交錯した祝福を受けた。
絶対に失敗はしたくない。いや、俺が失敗などするはずがない。そう思うことにする。

緊張しているつもりはないが、やはり平常心ではいられないだろう。
しかし、部下たちに動揺を悟られたくはない。
「先に帰るぞ〜」。
そう鼻歌交じりに言うと、綺麗に整頓したデスクに被っていたサンタ帽を置き、市役所を後にした。

俺は地下鉄の駅に向かう前に、市役所から4丁目界隈に向かった。
明日から師走に入る街を見ておきたい。
みぞれ混じりの小雨が降っていたが寒くはない。いや、むしろコートを着るには暖かい。
交差点ごとに設置されたスピーカーからクリスマスソングが絶えず流れている。これを聴くと、年に一度のクリスマスを祝う気持ちで身が引き締まる。

大通りを越えた辺りで、たまたま目についたテナントビルに入り、エレベーターで屋上を目指した。
ビルの入り口にはもちろんクリスマス基準法で定められている、”メリー・クリスマス”の文字や細かく規定された装飾が抜かりなく施されていた。
クリスマス基準法には例えば、『12月1日から25日までの間、商業地域及び近隣商業地域内の商業施設は、建物の壁面の50%以上を不燃材によるクリスマス装飾で覆わなければならない』という規定がある。もし違反すると30日以下の営業停止が科せられる。
この時期に営業停止は致命的だろう。
ほとんどの商業ビルは営業停止を恐れて、壁面を全て覆い隠すようにモミの木や金色のラメ細工のクリスマス装飾を施している。

最上階に着くと”関係者以外立ち入り禁止”と書かれた鉄製のドアを構わず開けた。ドアは思ったより重かった。一瞬、鉄の錆びた臭いがした。
ドアの近くにいたジャンパー姿の小太りの男が、俺を見て「おい・・」と言いかけた。
俺は「札幌市クリスマス課」と書かれたIDカードを無言で男の目の前に突き出した。
「あ、クリスマス課の・・、ご公務ご苦労様です」と、男は世辞笑を浮かべた。
「責任者は?」俺はポケットに手を入れたままわざと無愛想に訊ねた。

屋上の中央で屈んで降雪機の点検をする責任者の元に案内された。
灰色の作業着姿のその男は立ち上がると意外なほど長身だった。胸に国が配布するサンタバッチだけを一応付けている。こういう奴が一番気に入らない。
やはりへつらうような笑みを浮かべながら、長身の腰を屈めて目の前の降雪機が高性能なことを俺に熱心に説明した。
クリスマス基準法では規定されていないが、札幌市には特にこんな条例がある。
『10階建以上の建物の屋上には降雪機を設置し、12月1日から25日までの間、毎分10リットル以上の人工雪を降雪させなければならない』
これに違反するとやはり30日以下の営業停止処分である。
「サンタ帽くらい被っておけ」と俺が言うと、長身の男は「へへ・・」と卑屈に笑って俺を見送った。

クリスマス基準法は、20××年に与党や財界が提唱し、多くの国民に熱狂的に迎えられて施行された。
当初、一部の市民団体などが街頭で反対運動をしたが、サンタの衣裳をつけたクリスマスを祝う市民たちに取り囲まれ流血の惨事となった。有名な「血のクリスマス事件」である。
当時大学生だった俺も、「街中が綺麗な装飾で彩られたホワイトクリスマスを祝ってが悪い?、まったく偏屈な奴らだ」と市民団体を苦々しく思った。取り囲んだ連中に内心喝采を送ったものだ。今もその信念に全く変わりはない。
年に一度のクリスマスを祝うのに何をためらう?。そして、それを邪魔する奴らを許すことはできない。


俺はビルを出ると再び市中を散策した。
商店の店員は皆サンタ衣裳を着ていたし、通りにもサンタ衣裳の男女が目立ったが、俺にはまだ物足りなかった。
クリスマス基準法では『12月1日から25日までの間、事業主は、3人に1人以上の被雇用者にサンタ衣裳を着用させる義務を負う』とある。
国民にはクリスマスを楽しむ権利が保障されているので当然の条文だが、ならば被雇用者全員にサンタ衣裳着用を義務づけるべきなのだ。

気の早い店舗は10月の末頃から店員にサンタ衣裳を着せているが、明日から12月だというのに、平服の店員を店に出す事業主の気が知れない。
まあいい。そういう奴らは別件で営業停止に追い込んでやる。
年に一度のクリスマスに水を差す行為を俺は絶対に許すつもりはない。


ふと見上げると、クリスマスツリーの形に電飾されたテレビ塔の時計が19:00を表示しているのに気が付いた。
そろそろ帰るか・・。俺は地下鉄駅に向かい帰路に着いた。


【つづく】


Posted by arakihitoshi at 00:34│Comments(3)││雑感 
この記事へのコメント
お、新しい『作品』ですね!
今度のは、なんだか「星新一」風、ですね!?
Posted by Traviata at 2008年12月29日 03:10
この先の展開が、気になって大掃除が進みません。
どうしたら良いでせう。
Posted by さえ at 2008年12月30日 12:04
どもども(^^)
時季はずれになってしまいましたが・・、なんとか続き書こうと思ってます。
下手な小説ですがお付き合いください〜〜
Posted by あらき at 2008年12月31日 00:42

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