2009年02月07日

お見送りびと (アンケート付き)

今日は定期演奏会1日目であった。
ブルックナーのトレモロ超ゆっくりに挑戦は完敗であった・・・
本番で蝿が止る遅さで弓を動かす勇気は想像以上であった。

さて、今月でチェロの川崎昌子さんが退団することになり、今日が最後の定期演奏会だった。
川崎さんは、私の10歳位年上なのでまだ定年ではないが、やむを得ない一身上の都合で退団することになり実に残念だ。
私は川崎さんとプルトを組むことが多かった。16年前に入団して最初にプルトを組んでいたのも川崎さんだった。なので、今回も志願して川崎さんとプルトを組ませてもらった。
坂菜々子ちゃんが涙の寿退団してまだ半年ちょっとだというのに・・。
は〜、淋しいの〜〜。

考えてみれば、菜々子ちゃんとも最後のプルトを組んだし、その前は鈴木敏行さんの定年の時もプルト組んで、その前の土田英順さんが定年退団の時も隣だったな・・。
まるで「おくりびと」だな・・。
とか冗談を逝っているうちに、チェロセクション8人中2番目の古株になってしまった。

私が入団した時に暖かく迎えてくれた先輩たちはもうみんないないのである。
は〜、淋しい。本当に淋しい。
敢えて例えるなら、『さらば宇宙戦艦ヤマト』の古代と森雪が白色彗星に突っ込んでいく涙のラストシーンで、死んでいった戦士たちがセピア色になってコックピットに現れて二人を見守る・・。
入団した時にいた先輩奏者たちがセピア色になって舞台に現れて、トレモロを刻む私を見守る。
そんな感じである。(笑)


話しは変わるが、最近終演時のロビーでのお見送りに立つことにしている。
あれは「輪番制ですか?」というご質問をよく受けるが、実は志願制である。
あそこに立っている楽員は志願兵たちである。
ことの起りは、ロビーコンサートと同じで、2002年の経営破綻の時から始まったのだが、実のところ、演奏者の”お見送り”には、私は当初違和感を感じてあまり気が進まなかった。日フィルあたりがやっているのは知っていたが、正直「そこまでやるか?」と思ったものだ。
もちろんそれでお客さんに喜んで貰えるなら立つのだが、立場を変えてベルリン・フィルの演奏会に行って、ファウストやクリストたちが”お見送り”立ってて嬉しいか?と思うと、想像するだけで痛々しいし、私はあまり嬉しくないのである。
彼らにはステージの上でだけ格好よく存在していて欲しい、と思うのである。

しかしながら、実際にお見送りに立ってみると、お客さんの直の反応を聞いたり表情などから確かめたりできるし、知り合いやお世話になっている方たちに声をかけていただけると嬉しいし、メリットが非常に多い。
考えてみれば、たまに来るベルリン・フィルと土着のオケでは存在意義も全く違うし、これはこれでいいのか・・。と納得している次第である。
実際、楽員がお見送りしているのは評判もいいようだ・・・。

ただ、声をかけてもらって、瞬間的にどういう立場の人だったか思い出せないことがある。例えば普段は白衣を着ているお医者さんが私服だったり・・。
「荒木さん、いや〜、どうもどうも」
「ああ、どうもどうも・・、こないだは・・」(誰だっけ誰だっけ・・、顔は分かるんだけど・・)
とか思っている間に相手は通り過ぎて、3秒後に思い出した時には既に背中・・っていうことは多い(笑)。
失礼の段はお許しくださいm(__)m

というわけで、有意義なお見送りライフをエンジョイしているのだが、「ありがとうございました〜〜〜〜!」とやたら声を張り上げ続けるのには今だに違和感を感じている。
私は、演奏会は「お金を貰ったから弾きました」というのとは違うと思っている。
もちろんお金は貰わないと生活できないのだが、例えばお寺のお坊さんが、「お金貰ったらお経上げました」では困るのと同じように、演奏家はお金のやりとりとは別の次元で音楽に真摯でいるべきなのだ。・・・少なくとも建前は。←ここ重要

お見送りで「ありがとうございました〜〜!」と声を張り上げるのには、どうしても経済活動臭さを私は感じてしまう。言っている本人にその気がないのは分かるか、一抹の”へりくだり感”というか、コンビニ風と言うか、生活臭が醸し出てしまう気がするのだ。
やはりお客さんは、カレーライス臭い日常を忘れたくて演奏会来るわけだから、お見送りに立つ出演者たるもの、高貴な雰囲気を演出しつつ、黙って笑顔で佇み、お辞儀をされたら鄭重に返す、これが正しいお見送りのスタイルだと私は思うし、演奏家の仕事のあり方だと思う。
あの場での"声かけ"もまた任意なので、あるいは「”ありがとうございました〜!”って言ってもらうのがいいんだよね〜〜〜」というお客さんもいるのかもしれない。だから一概に否定する気も無い。あくまで私は違和感を感じるという話しである。
これからもいろいろなスタイルの楽員がいていいのだと思う。一斉に同じポーズで佇んでもこれはこれで無気味だ(笑)


と、ここで話しを終わらせてもよいのだが、それではつまらないのでここで緊急アンケートです。
※このアンケートは私、荒木均個人のお見送りでの身の振り方を決めるものであり、札幌交響楽団の公式見解に影響を及ぼすことは、たぶん無いと思います。

【Q1】”お見送り”どうですか? <終了しました>
 1好き
 2嫌い
  結果

【Q2】「ありがとうございました〜〜〜!」ってどうですか?<終了しました>
 1好き
 2嫌い
  結果


アンケートにご協力・・・・ ありがとうございました〜! 



さあさあ、今日もクリックしてください。とにかくクリックしてください。一刻も早くクリックしてください。ブログが更新されてなくてもクリックは忘れないように!  (ここだけの話し・・、クリックしないとあなたの身に不幸が訪れますよ。)
↓↓
banner




Posted by arakihitoshi at 00:39│Comments(4)TrackBack(0)││雑感 

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
今日のトレモロは素晴らしかったです!荒木さんが一番ゆっくりとトレモロを弾いていたと思います。ブラボーです。
Posted by M弟子 at 2009年02月07日 19:35
どうもどうも(^^)。今日はブログを読んだコントラバスのI田氏の「低弦は特にそうだよね〜」という共感を得て勇気が持てました(笑
Posted by あらき at 2009年02月07日 23:57
あらきさん、こんばんは。
お久しぶりで書き込みです。

私が札響の定期に通うようになって2年くらいですが、ここ数カ月はお見送りに立つ人の人数が増えたな〜と感じていました。
お見送りに立つ人、立たない人、それぞれ事情はあるんだろうなと思います。
でも、お見送りに立ってくれてると単純に嬉しいです。
演奏後は「感動をありがとう!」って伝えたい時もありますしね。
楽員さんを身近に感じられるのも嬉しいです。
ただ、こちらも緊張してしまい「今月はいいや・・・。」とそそくさと帰る時もあります。すみません。
演奏会に通い始めの頃は楽員さんとお話したい気持ちが強く、積極的にご挨拶させて頂いていたのですが、最近はなぜかそんな自分が恥ずかしく気遅れしてしまっています。(^^;



Posted by mano at 2009年02月10日 00:13
 こんにちは。終演後のお見送りですが、非常に良いことだと思います。特に1人で聴きに来ていると、「この感動をどうやって伝えようか!と思っている方も多いと思います。そこで、演奏されていたメンバーの皆様が立っていらっしゃると嬉しいですね。「感動でした。素晴らしかった」と私も、札響の演奏会にお邪魔した際は、つい声をかけてしまいます。オーケストラの方々だけではなく、事務局の方々にも。是非今後も続けていただきたいと思っています。
Posted by よこおじゅん at 2009年02月10日 21:27

コメントする

名前
 
  絵文字