恒星日誌、宇宙歴0401.1101
船遊びのシーズンタケナワである・・、と言いたいところだが、今年の地球の夏は雨ばかりである。いや、春も雨ばかりだった。まったく晴れないじゃないか!、というわけで、カヌーにもなかなか乗りに行けない。
先々週、わずかな晴れ間を見つけて支笏湖の美笛野営場に今年のカヌー初乗りに行った。ここのキャンプ場はネイチャー度、快適度共に抜群である。上機嫌でカヌーを漕いでいたのだが、いつのまにか腕を一ヶ所”ヌカカ”に刺されていた!!
この質の悪いヌカカには、昨年奥尻島で101ヶ所刺されて酷い目にあった。あまりの痒さで発狂しそうになりながら皮膚科に通ったりしたがなかなか完治せず、1年経ってもまだ治っていない箇所がある。
この上、今年もヌカカに刺されまくったのではたまらない。
「飛んで火に入る夏の虫」 というよりも、
「飛んで蚊柱の中に突っ込む夏の俺様」 になってしまう。
虫は怖い。気をつけよう・・・
で、先週はオホーツク方面にビータであった。
浜頓別と雄武町の2ヶ所で公演があった。
浜頓別といえばクッチャロ湖。野鳥で有名なラムサール湖である。
どんなネイチャーが、どんなラムサール状態が待ち受けているのか、
私は期待に胸膨らませ、カヌーを車に積み、船の指揮をスポックに任せ浜頓別に向かった。
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手前、町役場の近くの「キャンプ場」(拡大すると表示される)というところから出発した。
![kuccharo1](https://livedoor.blogimg.jp/arakihitoshi/imgs/4/c/4c449338.jpg)
クッチャロ湖には大沼と小沼があり、水路で繋がっている。
わたしはエンタープライズからクッチャロ湖畔の町営温泉ホテルに転送された。
『別府温泉に次ぐ泉質』と謳うだけあって、ここの温泉は抜群であった。そして目の前は湖畔のキャンプ場という素晴らしいロケーションである。
この日は浜頓別の町営体育館で本番だったが、ここには平成12年に来たらしい。体育館のロビーにその時の札響の写真が飾ってあった。横にもう一枚札響の写真があった。年月日は書いていなかったが、メンバーから推測すると昭和63年頃だろう・・。
浜頓別公演の翌日、雄武町公演の日に早起きしてクッチャロ湖をカヌーで散策する。
小沼の方がネイチャー度が高かそうなので、着岸点を探すべく車で周囲の道道を周ってみるが、上の写真のように荒野が漠々が広がって、車では湖に近づくことすらできない(遠くに見えるのが湖)。さすがはラムサール湖である。
![kuccharo2](https://livedoor.blogimg.jp/arakihitoshi/imgs/2/0/202110e7.jpg)
時間もないのでさっくりと諦めて、キャンプ場から漕ぎ出すことにしてカヌーを組み立てる。ここのキャンプ場は施設もロケーションも非常に快適である。しかも空いている。夏休みの土曜日だというのにゲロ空き。大丈夫なんだろうか・・。
風が少し強かったが、珍しく雨も降らず、そして涼しく・・、いや、少し肌寒く、カヌーを漕ぐには最適な日和であった。
野鳥や、湖面に魚が跳ねたりしてネイチャー度はかなりのものだった。
そしてこの湖は驚くほど遠浅である。
もともとは入り江だったところが、浅瀬が隆起して海と隔てられた海跡湖である。
湖の水は舐めると塩辛い。
![kuccharo3](https://livedoor.blogimg.jp/arakihitoshi/imgs/4/8/48905cfd.jpg)
湿原の岸からこのくらい離れても水深は50cmくらい。これ以上進むと座礁する。
パドルで湖底の砂をすくうとシジミが沢山とれる。
![kuccharo4](https://livedoor.blogimg.jp/arakihitoshi/imgs/3/b/3bad13ff.jpg)
さて、そろそろ時間である。
雄武町のリハーサルは4時からなので、ここを12時には出なくては・・。
キャンプ場に向かってカヌーを漕ぎはじめた。風を切って心地よい。
漕ぐこと10分ほど。
後ろを振り返ってギョッとした!。 湿原の岸からほとんど遠ざかってない!!
なに〜〜〜〜? ほとんど進んでないやんけ!
まず落ち着こう。10分は漕いだよな?
来るときは30分くらいでここまで来たよな?
どうやら、河口への湖の流れと海風が思ったより強いらしい。
まずいな、これは・・・。
「一生懸命漕いだけどゲネプロに間に合いませんでしたっ!」なんて理由で遅刻したら始末書じゃ済まんな・・。
「本番の時間はまだ湖の上でした〜〜! えへっ!」って、許されるわけないよな。
「スポック、転送の準備だ!」 とか言ってる場合ではなく、
やばい! 本格的にやばい!
というわけで、アセアセして口の中渇きながら命がけでパドルを漕ぐこと20分ほど。急にカヌーが進み出した。
なんとか一番デンジャラスなエリアを脱したようだ。
あ〜、びっくりした。
無事に元のキャンプ場に上陸。
カヌーをたたんで車に積んで、雄武町に向かう。
安心したせいか、眠い。ブラックブラックを大量消費。
途中に目梨泊がある。小高い岬の向こうから霧があふれ出していたり、イメージ通りのオホーツク的な景色に満足しながら車を進めた。
![kuccharo5](https://livedoor.blogimg.jp/arakihitoshi/imgs/6/f/6f1140a0.jpg)
周囲はわりと晴れていたのにここだけ霧に閉ざさた寒々とした景色だった。
目梨といえば、松前藩の絵師、松前波響の「夷酋列像図」で有名な、大規模なアイヌの抗争である”国後・目梨の闘い”を思い出す。
彼らもこの岬に見送られて戦いに出たのだろうか。
古の戦いに思いを馳せるのに、あまりに似つかわしい風景だった。
こうして約10年に一度のオホーツク北部のビータを終え、わたしはエンタープライズ号に戻った。
船長「スポック、変わりはなかったか?」
スポック「はい船長。変わりありません。それにしてもエンタープライズを放ってカヌー遊びとはいい身分ですな。船長」
船長「まあそう言うなスポック。カヌーは楽しかったが、今回は連合艦隊司令官のわたしでさえ肝を冷やす局面もあったぞ」
スポック「肝を冷やしたのに楽しかったのですか? 実に非論理的な感想ですね」
船長(ニヤリ)
船長「カトウ、ワープ2で前進だ!」