2010年01月19日

レコードの素晴らしさに気がつく

ここんとこの大雪には参ってます。
札幌中央部はそうでもないですが、先週は記録的な大雪の伊達に本番に向かい、先日は演奏会の開催が危ぶまれるほどの大雪に見舞われた江別に向かい・・。「飛んで火に入る夏の虫」ではなく、「飛んで豪雪地帯に突進する冬の札響」状態です。
フルートの森さんのブログにもありましたが、こういう緊急時のオーケストラは一体感のあるいい演奏するんですよね〜〜(笑)
さあさあ、今日もクリックしてください。とにかくクリックしてください。一刻も早くクリックしてください。
ブログが更新されてなくてもクリックは忘れないように! (ここだけの話し、クリックしたあなたにだけ幸せが訪れます・・)
人気ブログランキングへ

=============ここから本文=================

まったく迂闊(うかつ)だったと言うほかない。
この20数年間、レコードを聴かなかったことが・・。

ここ1週間ほど、毎晩水割り飲みながらステレオでレコード聴いてます。
「いい音だな〜〜〜」
実は、20数年間、純粋に楽しみのためにクラシック音楽を家で聴くということがありませんでした。
もちろん、勉強のためには聴くんですが。

昔、クラオタだった頃、
特に、中高校生とか浪人生の頃は、もう本当に1日中、とっかえひっかえレコードを聴きまくってました。
でも、聴かなくなっちゃったんですよね。特にプロになってからは。

忙しくてゆっくりレコードを聴く時間的余裕がないとか、
音楽を仕事にしてしまったから、純粋に楽しみで聴く気分になれないとか、
そういう理由で、聴かなくなったんだと思ってました。
(実際そういう側面も全くないとはいいませんが)
CDを買ってきても、勉強で聴く場合は別として、「ふんふん・・、こんな感じね・・」と最初のほうだけ聴いて途中で止めてしまうこともよくありました。

それがなんで急に、水割り片手にステレオに向かっているか。

きっかけは、前回のブログに書いたFMアンテナです。

アンテナを繋いでバリバリに受信してるチューナーから聴こえるNHK-FMのクラシック音楽の音が、素晴らしいんです。
「え?」と思って耳を凝らして聴いてみても、やっぱり素晴らしいんです。
普段聴いているCDの音より明らかに臨場感も奥行きもあり、リアルな良い音に聞えます。

これはいつも聴いているCDの音がやはり薄っぺらいってことなのか?
確かに、CDよりもレコードの方が良い音がする、というのは、もやもや〜〜っと感じていた事ではありました。
でもちゃんとそれと向き合ったことはありませんでした。
長年封印状態だったレコードプレイヤーをアンプにつないで、仕舞ってあったレコードを出してきました。
で、スピーカーの前にきちんと座って聴き比べました。
レコード

上の写真は、フルニエのバッハ/無伴奏チェロ組曲のレコードと、同じ演奏のCDです。

聴き比べて愕然としました。
全く違う。違いすぎる・・。
音色、臨場感、空間の広がり、何もかも違います。
長年とっておいたレコードをいくつか出して聴きました。
弦楽四重奏なんか、目をつむると、どこかのホールで10メートルくらい先で本当に四重奏団が演奏しているような臨場感に包まれます。
オーケストラもソロも、本当に素晴らしいです。
もっと具体的に色々言えば言えると思いますが、とにかく部屋の雰囲気が変わってしまうんです。

「ウソだろ・・・・」と思いました。

これを読んで「なにを今さら・・・」と、呆れるかたも多いと思います。
でも、私にとってはレコードの素晴らしさにちゃんと気がつくのが今でした。
思うに、世代的なことも大きく作用していると思います。
現在44才の私は、たぶんレコードを辛うじて知っている最後の世代です。
私が18才〜19才くらいの頃に世の中がCDに切り替わりました。
それまでは毎月のお小遣いでコツコツとレコードを買っていました。でも大学生になってアルバイトをして少しは自由にお金が使えるようになってからは、すべてCDを買っています。
多分、私より3〜4才も若いだけで、もうレコードとは縁がない世代になってしまうのではないでしょうか。


というわけで、
私もレコードの音の記憶は朧げす。
でも、レコード針を下ろす時のワクワクした気持ちとか、レコード店に足を踏み入れた時のドキドキ感とか、そういう感じは覚えていました。
こういう言い方も変ですが、1枚1枚のレコードが本当に愛おしくて、上のフルニエのレコードジャケットの裏にも、万年筆で幼い字で、「1982 1.20 Wed.」と書いてありました(笑)。
1月20日ということは、多分お年玉で買ったんだと思います。
その後、CDも沢山買いましたが、CDに愛おしいなんていう気持ちは持ったことがありません。

さて、レコードと比べてみると、CDの音は本当に薄くて非力です。
CDの規格を決める時に、ソニーの会長がカラヤンの第九が1枚に収まるように設定したとか、いろいろ神話はありますが、
何にせよ、1分が10Mバイトというのがそもそも容量不足すぎるということなのでしょうか・・。
このあたりの技術的でディープな事情はよく分からないし、突っ込んで考える気もないのですが、とにかく!、CDは音の情報量が足りな過ぎます。


で、レコードの音の素晴らしさを再発見してしまって、以前にもましてCDが全く聴けなくなりました。
来年度に定期でマーラー3番やるのですが、CD持ってなかったので買おうと思ってたのですが、どうしても買えずにネットでレコードを注文してしまいました。
ここんとこ、毎日ネットでレコードを見て周ってます。
高校生の頃に買えなかったあ〜んなレコードやこ〜んなレコードも、大人になった今は楽勝で買えます!(笑

時々聞えるピチパチっていうレコード特有のノイズも、音が素晴らしすぎるのでぜんぜん気になりません。
CDが出はじめた頃に、世の中の人は「ノイズがない」と言ってCDを誉めちぎりました。
当時19才のガキンチョだった私もすっかりCDの音は素晴らしいと思って、真剣に疑ってみることをしませんでした。


ここ20数年、CDになってから家でステレオと聴かなくなった、のではなく、
音が悪くて"聴けなくなった" ということが判明しました。
CDは長時間聴きつづけていられませんが、レコードはずっと聴いていたくなります。
レコードを知らなくて最初からCD世代の人はひょっとして気にならないのかもしれません。
でも、職場の私より年配の人と話すと、皆レコードの方が良かったと言います。
人類は便利と引き換えにあまりにも素晴らしいものを捨て去りました。犯罪的と言ってもいいくらいです。
このレコードとCDの音の違いは、われわれ社会がこの20年間に捨ててきてしまったものの象徴の様な気がします。
「これはマズだろ・・・」と思います。


今日は久々の休日を利用して、狸小路にある名曲喫茶「ウィーン」に行きました。
CDにしろレコードにしろ、最高の装置で聴くとどういう音がするのか、聴いてみたくなったからです。
ここは、知る人ぞ知る、50年の歴史を誇る最強の名曲喫茶なのです。
とは言うものの、行くのは初めてでした。
素晴らしいステレオ装置とレコードやCDのコレクションがあるので有名です。
高校生の頃から憧れはあったのですが、とても敷居が高そうで、気合の入ったマニア様の集まるお店のような・・。
とても私が行って良い場所ではないような・・。
いや、しかし、今は俺だった大人だし、そこそこマニアだと思うし、
っていうか、俺ってプロじゃん! っていうか、俺って札響の楽員じゃん!、しかも中堅の!。

行っていいはずだよな。うんうん、行ってもいいよな。(あの高校生の頃から30年、俺もエラくなったもんだ・・ 笑)

というわけで、行ってみました。
ウィーン

聞きしに勝る素晴らしいお店でした。
3人くらい見るからに筋金入りのマニア様とお見受けする60代の男性客がいました。
私が入って、その後2名のやはりマニア様風の男性客が入ってきました。
皆ひとりで来ていました。
ラロのスペイン交響曲の1楽章の終わりくらいから、ブラ2の2楽章の最初までだったので、40〜50分くらいいました。
かかってたのはCDでしたが、リクエストも受け付けてくれるとのことなので、次回はレコードを聴かせてもらおうと思っています。


遅まきながらでもレコードの音の素晴らしさに気がついて良かったです。

それではみなさん、ごきげんよう。



Posted by arakihitoshi at 23:43│Comments(9)││レコード・オーディオ 
この記事へのコメント
レコードとCDの音質の差ということで、ちょっと検索してたら、こんなのが見つかりました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1315615138
まあお説は色々あるんでしょうが、俺も時々昔のレコードを引っ張り出してきて、年に2度くらいは聴いたりします。プレーヤーも古いんで今の針が減ったら新品は買えるんだろうかとか、アームが自動的に上がる機能がとっくに死んでるんで(メーカーにもう修理不能と言われた)いちいち手でのせたり降ろしたりするのが面倒だったりしますが、たまにはいいもんすね。
爺さんが聴いていた40年以上前のレコードも大事にとってあるんだけど、さすがにそのころの盤は、音が悪いなあ。俺は針のパチパチ音が嫌で、よくレコードスプレーをシューシューやっては拭きまくったり、木工ボンドで盤全体をパックして剥がして汚れを取ったりを繰り返してましたねえ。やりすぎて一枚だめにしたことも。そんなんで、雑音がしないし、頭出しが簡単だし、好きなところから聴けるし、音も明るくハッキリ・クリアだし、PC買ってからはコピーも容易だってんで、CD時代の到来はありがたかったですね。いや、CDに乗り換えた20代の頃にはそう思ってた。
10年くらい前には、レコードの音をPCに読み込んでCD-Rに焼いて、ラベル作って印刷して貼って、ケースも作って自分だけのCDを作るのに夢中になってたこともありんした(今はもうやらない)。もうレコードはCD化する時以外、出番なしでしたよ。
レコードはでかいし保管場所をとる、傷つきやすい、埃や湿気に弱い、かけすぎると減っちゃうなどデリケートなヤツですが、大切に扱うからこそ、聴く時間を大切にするってとこはありますよ(CDはポンと入れてポンとボタン押すだけだから聴く時間もお手軽)。そして確かに音は「柔らかくて暖かい」。
Posted by hi-korin at 2010年01月20日 11:33
まあ聴くための環境ってのも大きいんでしょう。うちの古いCDプレーヤーじゃスーパーオーディオCDなんかちゃんと再生できないけど、昨年30年前から使ってた古いアンプを最新のに替えたら、こりゃだめだと思ってたCDの音がそこそこ聴けるように良くなったんですわ。ということはアナログ盤も今までより良い音で聴けるはずだってんで、かけてみました。でもうちの機器じゃ、両者を聞き比べても音の硬柔くらいしかわかんない(同じレーベルの同じ曲でアナログ盤とデジタル盤を聴き比べてないってのもあるが)。荒木さんみたいなプロの耳も持ってないし。
オーディオマニアの伯父がいるんですが、真空管アンプだとか、銀線だとか、(近所に迷惑かけそうな)巨大なスピーカーだとか、もう次々買い換えてキリがないんですわ。これは既に演奏の生音とは別のものになってるんじゃないの?!ってくらい。でも彼は生の演奏会には全然行かないんです。行ったとしたら「生演奏って意外と音悪いな」とか思ったりして(笑。そんなんで、わたしゃCDはCDとして割り切ることにしました。

究極は、新冠のレ・コード館にあるという針無しのレーザーで聴けるというレコード・プレーヤーですかね。

まあ今どきのガキが携帯プレーヤー聞いてる(聴いてるじゃなく)ようなジャンルの音楽は、音質なんて大してどうでもいいんだろうけど。
あっ、長々と書き込んでどうも済みませんでした。
Posted by hi-korin at 2010年01月20日 11:34
確かに…!
CDはレコードのように【大事】にはしないですね。
車での移動が増えた今、CDは便利です。
情報ツールとしてはCDの手軽さは捨て難いです。
でも…確かに…大切な宝物ではないです。

だからですかねぇ。
録音の善し悪しに拘らなくなったのは。
どう頑張ったところでナマの演奏会に敵うワケないし
曲がわかればOK、どうせ音取りCDだし…
そんなふうにしか思わなくなっちゃいましたね。

ところで「名曲喫茶ウィーン」は、未知の領域でしたか!?(笑)
私は小学生のときビアノの先生に連れられて初めて行きました!
先生といっても当時教育大の学生さんだったはずですが…
だから、あらきさん
敷居は全席高くないですよ!
Posted by Traviata at 2010年01月20日 12:44
hi-korinさん
木工用ボンドパック 私もやりました!(笑)
パチパチノイズは私も昔は本当に気になりました。
固く絞ったおしぼりでごしごし拭きまくるというのもやったけど、あれは正解みたいですね。
温水シャワーで洗い流すのが良いようです。その時に紙レーベルを保護するためのキットが売ってました。
今度買ってみようと思ってます。
あ、ちなみに高価な機材は私も持ってません。安価でもそれなりに良い音がするのもアナログの魅力ですね。

Traviataさん
>録音の善し悪しに拘らなくなったのは。
そうそう、そんな感じです。
札響のCDもレコードと同時発売にならないかな〜、と思っていまいます。
(もちろんコスト的に無理なのは分かってますけど)
Posted by あらき at 2010年01月20日 22:57
(^_^)ノ はい。レコード現役です。ビートルズもイーグルスもチャゲあすも甲斐バンドもウィーンフィルもレコードで聴いてます。コンポもラジカセも、世の中が次々とCD主流に変わっていく時期にもギリギリまでレコード買ってました。…CDプレーヤーもCD自体も高価で買えなくて(汗)。
最近は逆に中古市場にいいレコードが出回ってまして、ご近所にあるブックオフの横のオフハウスにクラシックから昭和のアイドルまでお手頃価格で並んで(っていうか、積んで)おります。中にはちょっと珍しい上に傷一つついてないピカピカの盤まであります。ジャンク品コーナーにはジャケットが汚れてたり傷がちょいとあったり…ってのがコンテナの中にひしめいてます。シングル42円とかLPが525円とか、中にはレア物でいい値段ついてるのもありますが…(^^;)
たまにCDとレコードで同じ曲を聴き比べなんかしてみたりもしますが、やっぱレコードの方が奥行きあって好きかも〜。
デジカメの画像とフィルムカメラの写真の違い〜、ってとこ?
ちなみに、我が家はビデオもカセットテープも現役です。だって、まだ動くんだもの(笑)
Posted by ごまふ at 2010年01月20日 23:36
あのお店の並びの中古レコード屋さんに行った帰りなど、寄ったりします。
落ち着くし、ココアも美味しいし…。

主人はスピーカーと古いオーディオ雑誌がお気に入りです。

お見かけしたときは、あ! という顔をしないでそっとしておきます(難しいかも…)。
Posted by chie at 2010年01月21日 10:09
ごまふ>
さすが〜〜〜(笑)。
ボクもヤフオクとかで中古レコード買いはじめてます。中性洗剤水洗いでパチノイズが劇的に少なくなるのを確認して自信が付きました。
今日は「ベルリン・フィル12人のチェリスト」の1stレコード(未開封)を買っちまいました。
うーん、ハマリそうでやばいっす・・。

chieさん>
そうですか〜、あの並びにそういう店があるんですね・・。
情報ありがとうございます。
次回ウィーンの帰りに寄ってみます。
店で見かけても /()゚O゚()\ひぃー という顔はしないでください(笑
Posted by あらき at 2010年01月21日 22:55
昔、レコードっていうものは、街中まで出かけて行かないと買えないものでした。
私が10代の頃は家の近所にはレコード売ってる店が無かったんです。
今みたいに、ネット通販で手軽に気軽にCDが買える時代じゃなかった。
街中の玉光堂やキクヤとかに行って、そこで選んで買った大きなLPを脇に抱えて
途中の地下鉄やバスの車内で人に押されたりして割れたり曲がったりしないように、
大事に家まで持ち帰ったものでしたよ。
そうして自分の部屋まで無事持ち帰ったレコードをそうっとジャケットから出して
おもむろに初めて針を落とす醍醐味っていうものがありましたねえ。
今では、通勤の鞄の中にCDをポイと入れて(鞄が無くても、コートのポケットに入れて)
楽々持ち帰れますから、ずいぶん音楽を買うという行為の重みが変わってしまいました。
それどころか、データとして自室でダウンロードしたり、iPodとかUSBメモリなんかの
メディアに入れて持ち歩けるようになって、既成のCDさえ、もう買わないっていうんだから、
音盤をコレクションとして並べて手元に置いておく時代ではなくなりつつあるのかも
しれません。
ステレオだって、そのうちCDなどのメディアが必要なくなって、直接音楽配信会社から
好きな音楽を好きな時に通信で送られるようになったりして。いやiTunesなんかを
使ってると、既にそうなりつつあるんだと思います。
だからここでみなさんのレコードに対する思い入れたっぷりの書き込みを読んで、
あの買ったレコードを大事に家まで持ち帰った頃が、とても懐かしく思い出されました。
Posted by A.S at 2010年01月22日 23:08
街中の玉光堂は私もよく通いました。
駅前通りの玉光堂2階のクラシック売り場は、それはそれは最高のワクワクスポットでした。
つい最近、東急ハンズで中古レコード市にたまたたま出くわしました。
クラシックもあったので、パタパタとレコードを繰って見ましたが、あの動作が懐かしかったです。
Posted by あらき at 2010年01月23日 23:28

コメントする

名前
 
  絵文字