2010年02月12日

古いものを愛でる

昨日、札響名曲コンサートの本番でした。
来シーズンの4回通し券の発売日でもあったのですが、なんと驚くことにS席は即日完売!(゜ロ゜;
枚数限定なので、残りは一回券や当日券になるはずです。いや〜、すごいね。嬉しい悲鳴です。
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最近似たような体験を二つしました。
まず、ひとつめ。
先日、目覚まし時計が2台ほぼ同時に動かなくなって某家電量販店に修理に持って行ったのです。(そこで買った時計だったので)
売り場の店員さん、何やらマニュアルを眺めること10分以上・・、奥に行って電話で問い合わせたりもしてます。
そして、「修理代とメーカーに送る送料合わせて8000円になります」と。
うーん、2台合わせて4000円くらいで買った時計の修理に8000円か・・。

出せるか! クワッ (ノ`Д´)ノ−−−−−┻┻ -3-3

その時計、安物の時計ではありますが、大きさとか文字盤の雰囲気とか使いやすくて気に入っていたのです。
量販店に修理に出すのはやめて、近くの時計店に持っていくことにしました。
ここの時計店は、古〜〜〜い建物で、前から気になっていたお店なのです。
いかにも職人気質のジイ様がやっていそうな店構で、ここでダメなら諦めようと。

で、昨日持って行きました。
「○○時計店」と書かれた薄汚れた看板の下の、曇りガラスのはまった引戸を開けるのに、少し勇気がいりました。
中に入るとわずかに畳の臭いがしました。店内は古くて狭いですが、いかにも掃除が行き届いる感じです。
壁には柱時計が並んでいます。どの時計も正確に4時半を差していました。
目の前のガラスケースはピカピカに磨き上げられており、中には色褪せた緑色のフェルト生地の上に腕時計が端正に陳列されています。
なんと言えばいいのか、まるで横溝正史の小説の世界に迷いこんだような光景。

店の奥から小柄な白髪の老人が出てきました。少し猫背で、指揮者のボッセさんに似ています。(もちろん日本人ですが)
目に付けていたルーペをはずして無言で私を見上げています。

「あの・・、目覚まし時計が壊れちゃって・・、修理をお願いしたくて・・、はい・・。」
「どれ?」
「あ、はい、えっとですね・・、 あ、これです」と言いながら、わたしは少し慌ててデパートの紙袋に入れた目覚まし時計を2台出しました。

期待通り・・、いや、期待以上の無愛想な応対。
やっぱり職人はこうでなくちゃね!

時計を店主に見せると、彼は時計の裏ぶたを開けて、
「あんたね、時計に赤い電池なんて入れちゃだめだよ」
といきなり怒られた(爆)

老人は赤い電池を外しながら、
「マンガン電池はね、減っていくと液漏れするんだ。だから時計に赤い電池なんて入れちゃだめなの。黒か金色の電池入れなきゃ。」
と言いながら、電池の当るところをヤスリで出際良く削って、引き出しから出した金色の電池と入れ替えました。

電池を入れ替えている間、店主は独り言のようにつぶやきます。
「最近の時計はね、高級品以外は直す価値なんてないんだ。こんなもんね、あんた、電気の通る所以外は全部プラスチックだよ。」
「はあ・・」となぜかすまなそうに相槌を打つ私。
今回はこれで動くけど、中が故障したらそれでお終いだそうです。

作業が終わると時計は2台とも、老人の言ったとおり、なんの問題もなく動きだしました。
その間、およそ1分。修理代、というか電池代は2台で900円。
やっぱりこの店に持ってきて正解だった。店構えからしてただ者ではないと思っていたが・・、見事に的中したよ!
それにしても量販店の8,000円はなんだったのか・・・・。
というか、最近の時計ってなんなのか・・。ジイ様に怒られた赤い電池だって買った時から元々入っていた電池でした。


で、二つめの似たような体験。
折り畳み傘の骨が変な風に曲がって上手く開かなくなったので、近くの修理屋に持って行ったのです。
この傘は20年くらい前に、当時けっこう値段を出して買ったもので、気に入ってずっと使っていました。

「直りますかね?」とわたし。
「直りますよ。最近の傘はね、みんな骨がアルミでね、安くて軽いけどすぐ壊れるでしょ。アルミの骨は一回曲がるともう直せないんだけど、でも昔の傘は鉄できちんと作ってあるから・・」

傘は3分後くらいで、パリッと元の形に直りました。
まだまだ使えるそうです。


わたしは最近つくづく思うのですが、限界を越えた低価格化は本当によくないです。
デフレのせいなのか、中国製品のせいなのか、自由競争に歯止めがかかってないのか、そういう分析はともかくとして、世の中が粗悪品で埋めつくされていくのに危機感を感じます。
時計屋のじい様や傘屋のおじさんたちは、時計や傘が粗悪品に変わっていくのを毎日目の当たりにしてきたんでしょうから、苦々しく客にぼやかずにはいられないんだと思います。

”昔の物のほうが質が良い”
という体験は、大げさな表現ですが、産業革命以降、人類が始めて直面している事態ではないでしょうか。
”人の技術や物の性能や品質はどんどん向上していくもの”という当たり前の感覚が、身の回りの現実と符合しなくなってきたという気持ち悪さというか、ある意味恐ろしさを感じるのです。


最近、レコードにはまっているという話しは前回書きましたが、ネットで昔のレコードを探して買っては毎晩聴いています。
CDは便利だし取り扱いも楽だし否定する気はないのですが、音色もきちんと再現できるレコードはやっぱり素晴らしいです。
ちょっと恥ずかしい告白ですが、音楽の素晴らしさを思い出させてくれます(照)。
1960年代とか1970年代に作られたレコードが、現代のCDより再現能力がはるかに上、というのはいかがなものかと思うのです。
CDを聴いていると、どうしても「あ、音程外した・・」とかそういうつまらない聴き方になってくるし、そもそも生理的にイライラしてきて大きな音では長時間聴けないです。(あくまでわたしの場合は、という話しです(^_^;))
CDの取り扱いはそのままに、レコードかそれ以上の再現能力を備えた新しいメディアというのは出来ないものでしょうか。

少しくらい値段が高くなってもいいです。
もう安物はいらないです。


Posted by arakihitoshi at 11:49│Comments(4)
この記事へのコメント
今回の荒木先生のコラムはとても良いお話ですね。先日腕時計の電池を替えてもらったのですが、職人魂に触れた気がします。街の時計屋さんはすごいです。来シーズンの名曲コンサートのチケット好評で素晴らしいです。毎回プログラムがとても良いですしね。レコードは殆ど捨ててしまって、いまさらながら惜しいことをしたと思っています。ものの価値はなくしてしまってからしか分からず恥ずかしいものです。
Posted by よこおじゅん at 2010年02月14日 10:00
2
プロジェクトXという番組がNHKで始まったとき、俺は「あぁ、今の日本のモノづくりの力が落ちてきたから、ちょっと昔の技術者の努力と成功話を振り返るような番組が出来たんだ」と思いましたね。
どんな製品のメカ部分もだんだん素人が手出しできなくなってきてるし、修理といってもただ部品とっかえるだけだったり。直すよりどんどん新製品買ってもらった方が経済は回るし。
トヨタのリコール問題なんかも根はそのへんにあるのかな。中国の工場より、絶対日本の町工場に部品作らせる方が安全なんだって。

あ、スーパーオーディオCDとか、DVDオーディオとか、デジタルでレコードに負けない環境を作るには、プレーヤーだけでなくスピーカーもそれ対応のものにするとか、それなりに金がかかるみたいですよ。盤もそれほど種類多く出てないようだし、一般の人は今のCDの音質に不満ないっていうから、あくまでもハイエンドユーザー向けとして大きく普及はしなさそうです。
Posted by hikochin at 2010年02月14日 10:50
使えるうちは使いたい派です(^_^;)。
つい先日、25年前に買った腕時計が動かなくなり、購入したお店で修理をお願いしました。お店の方の話だと、古いものはメーカーが修理を断ることもあるそうで、とりあえず、分解掃除をしてみましょう、という事になりました。
メーカーが自社製品の修理を断るというのは悲しいですね。直るものなら直して、機械の寿命まで使いたいです。修理をする職人さんがいなくなったのか、単にもうけ主義なのか‥。
”安物買いの銭失い”というのは昔の話で、そこそこ高価なものでも修理より買う方が安い、いわゆる使い捨て主流、という世の中の流れに戸惑いを感じます。

レコードですが、昔の4chのオーディオセットがもう使えないので、捜していたら、レーザーでレコードの溝を読みとるというものを発見しました。これ、音はどうなんでしょうね。受注生産、オープン価格って書いてありました。オープン価格って、謎です‥。何だかかなりお高いのじゃないか‥、という気配がします。
Posted by 小雪 at 2010年02月15日 19:40
日本の技術力落ちてるのは危機感感じますね。
ゆとり教育とか言ってる場合じゃないです(もう言ってないらしいけど)。
この国から技術と頭脳取ったら取り柄が無くなっちゃうんだから・。

レコードの音溝を読むデジタルマシーンって、新冠のレコード館で見たことあります。でも、音的にはどうなんでしょうね。
Posted by あらき at 2010年02月16日 00:04

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