2011年02月22日

国境は別れの顔

3月1日19:00 サントリーホール で札響東京公演があります。(詳しくは札響公式サイトで)
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今日はルパン三世について書きます。
1971年〜72年に放送されたTV第一シリーズの時は私はまだ小学1〜2年生だったので何も覚えていません。
このシリーズは再放送で小学校高学年の時に知りました。
いわゆる”旧ルパン”と呼ばれるルパンが青背広を着たこのシリーズが、『大人向けアニメ』として当初作られたことはあまりにも有名です。
大隅正秋の懲りまくった大人向け演出が裏目に出て視聴率がとれずに、4話目からは高畑勲と宮崎駿という、後のジブリのお二人が変名で制作を引き継いだのもあまりにも有名です。
この辺りに関して素人の私が述べることは何もありません。

旧ルパンに関しては彼ら超優秀なスタッフによって制作されているので、今見ても本当に面白い完成度の高い作品がきら星のごとくひしめいています。
クールでハードボイルドで、そして少しエッチな、大人の魅力満載なルパンです。
何も言うことはありません。
しかし、1年で打ち切りになってしまうとは・・。この素晴らしい作品が登場するには時代が早すぎたというしかありません。

そして、本格的にルパン三世がブレイクするのは1977年〜80年のTV第二シリーズでしょう。
赤背広を着たいわゆる”新ルパン”です。
超人気アニメとなった新ルパンは155話も続いた訳ですが、視聴率に苦しんだ第一シリーズの反動からか、この新ルパンはいたって子供向けに作られていたように思います。
特に、シリーズ後半は荒唐無稽なコメディータッチの作品が目立ちました。
ルパンの泥棒の手口も、”頭を使って獲物を仕留める”、”銭形との丁々発止のやりとり”、などは影を潜め、ルパンがドラえもんの未来の道具のような物を使う安易な手法が目立ちました。
毎週、少しは期待してTVを見てはがっかりしたものです。

そんな中、ひときは異彩を放つ名作もありました。
145話の「死の翼アルバトロス」と最終話「わが愛しきルパン」の二作。
これはもう別格。宮崎駿が脚本・演出を担当して破格の予算とセル画をつぎ込んで制作されてるので、他の作品とは比べようもありません。
多くの人が語り尽くしているので、いまさら素人の私が言うことは何もありません。
1979年制作の「カリオストロの城」含め、宮崎駿演出のこれら三作はその後何十回観たかわかりません。
そういえば、初めてサンサーンスの交響曲第3番「オルガン」を聴いた時に、
「あれ!?、これ『アルバトロス』の曲じゃん!」と思ったものです(笑)。

で、それ以外で異彩を放つ名作として私が挙げたいのが、第58話の「国境は別れの顔」です。
この作品は次元が主役の巻です。そして、とてもロマンチックなお話しです。
簡単にストーリーを説明すると、
「オーロラの雫」と呼ばれるダイヤを盗みに、ルパンと次元はソ連に潜入します。
そこで、バレエのプリマドンナ(モニカという名前)が舞台で着けているそのダイヤを舞台の天井に忍び込んで盗みます。(この盗み方はドラえもん的で気に入らない)
しかし、ソ連の官憲に追われて、次元は肩を撃たれます。ルパンは「必ず助けに来る」と言い残し逃げ去ります。
命からがら官憲から逃れた次元は、ある美女にかくまわれて目を覚まします。肩の傷は丁寧に手当されていました。
その美女はあのバレエのプリマを演じていたモニカでした。
モニカは西側に亡命したいことを次元に告白し、自分を連れて逃げてくれるように懇願します。
そして二人の逃避行が始まります。
夫婦と偽って旅をする二人。列車から飛び降りたり、雪山で遭難しかかったりしながら、何とかチェコスロバキアとオーストリアの国境までたどり着きます。
しかし、国境警備隊に見つかり、次元はサイドカーを操り命がけでモニカだけを国境からオーストリアに逃がします。
警備隊に捕まった次元はその場で銃殺されることになりました。
「資本主義社会のダニを一匹銃殺にする」というレトロな号令より一瞬早く、ルパンと五右衛門が気球で次元を救い出します。
そして後日、西側の遊園地でモニカと再会する次元。
観覧車の中でモニカと次元が向き合います。
「次元・・、ありがとう」
「ん? 礼を言われる覚えはねーよ」
「だって、私のために”オーロラの雫”を運んでくれたんですもの」
銃を構えるモニカに次元は一瞬驚いた風を見せます。
モニカの命じるままに肩の包帯を取ると、そこにはダイヤが隠されていました。
「最初から俺を運び屋に?」

とまあ、そんな感じの話です。
話の中には
「裏切らない女がいたらお目にかかりたいぜ」とか、
「女と心中したと聞いたら、ルパンが何と言うかな・・」とか、
「ふっ、デートの約束なんて俺にはとても似合わねぇ・・」など、
次元のダンディズムとニヒリズムがムンムン・ムラムラと立ちのぼるセリフが満載です。
孤独と諦めの中にこそ男の美学があるのでしょう・・・。うんうん。

「いや、次元さん、きっと裏切らない女性だっていますよ!」なんて言おうものなら、
「ふっ、坊や、そう思うのは勝手だが、女の裏切りが男を大人にするんだぜ。覚えておきな」とか言うでしょう。
万が一、機嫌が悪いときにでもあたろうものなら、0.3秒の早撃ちでマグナムをお見舞いされると思います。

今の日本の男に欠けているのは、女にけして媚びない、聞き分けのない野郎にはマグナムをぶち込んでやるぜ、という勢いのクールな男臭だと思います。
私も見習いたいと思います。

で、この作品、ソ連とか亡命とかチェロスロバキアとか、今は亡きインターナショナルな浪漫がてんこ盛りなのですが、音楽がとても素敵です。
白鳥の湖の情景に始まり、
二人の逃避行では、白鳥の湖の中の”グラン・アダージョ”や”チャルダッシュ”などが使われています。
また、スッペの「詩人と農夫」や、選曲者はよほどのバレエ通なのか、次元とモニカか遊園地で再会するシーンでは、ドラティーの「卒業舞踏会」なんていうマイナーな曲がさりげなく使われていたりします。
こうしたクラシックの特にバレエの名曲が随所に、非常に効果的に使われていて作品に品格を与えているのです。

泥棒の道具がドラえもん的だったり、銭形がバカっぽく描かれていたり、気に入らない箇所もあるのですが、補ってあまりある魅力がこの作品にはあります。

DVDになっているかは微妙ですが、見つけたら是非観てください。
そして、現代の私たちに不足しているダンディズムとは何かを研究しましょう。

国境2
ロシア人の”イワノフ夫妻”に扮した次元とモニカ(ルパン第58話「国境は別れの顔」より)


それではお前ら、あばよ!


Posted by arakihitoshi at 00:26│Comments(15)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
いつも更新楽しみにしています!関係ないのですが、写真変わっちゃったんですね〜。前の写真の尺骨、すきだったんですが…
Posted by asahi at 2011年02月22日 20:37
asahiさん>
ありがとうございます。
おっと・・、尺骨マニアの方でしたか!(笑)。
これからも尺骨はもとより上腕骨、橈骨、鎖骨などもセクシーに鍛えていきますのでよろしくお願いします。
というわけで、また書き込んでくださいね。
Posted by あらき at 2011年02月22日 21:17
演奏の際はTシャツで、とお願いしたいところでしたが、そんなに鍛えるなら、上半身は脱いでも良さそうですね♪( ´▽`)
いや、やっぱり鎖骨チラ見せ、くらいがよいでしょうか?
Posted by asahi at 2011年02月22日 21:34
5
お疲れ様です!初書き込みです。

本当に文才がお有りですね〜(>_<)
最後まで一気に読みました(笑)
ルパン三世の歌が大好きで、この下りが気に入ってます(^o^)

瞳の奥に 獲物を映して
淋しく問いかける 愛の在りか
男には 自分の世界がある たとえるなら 空をかける ひとすじの流れ星
孤独な笑みを 夕陽にさらして
背中で泣いてる 男の美学

でも、男性って皆、浪漫を追い求めてますよね!年齢を重ねても素敵だからちょっと憧れます♡
お休みなさい…(^o^)

Posted by nettomo at 2011年02月23日 00:33
nettomoさん>
はじめまして。
文章を褒めていただいてありがとうございます(^_^)。

ルパンのオープニングはいろいろなバーションがありましたね。
歌詞付きも良かったですが、わたしはマリンバによるジャズ・バージョンが好きでした。
大人の雰囲気を醸していたと思います。

男性も浪漫を追い求め続けるタイプと、どんどん現実的になってくタイプがあるような気がします。
もちろん私は前者であり続けたいと思っていますが・・。

というわけで、また書き込んでくださいね。
Posted by あらき at 2011年02月23日 09:13
”坊や、そう思うのは勝手だが、女の裏切りが男を大人にするんだぜ”
……(-。-) ボソッ
よくこういうセリフが次から次ぎへと出てくるものですね。よほどの人生経験とご苦労を重ねられたものと拝察する次第です。
Posted by じい at 2011年02月25日 12:18
ルパン三世、最初の放送時間いつだったかなあ。ちょっとエッチなところもあり子供向きではない部分もありますよね(笑)。ストーリーもよかったな。しばらく観ていないな、観たい、観たい。原作のモンキー・パンチさん、北海道の浜中ご出身だったと思います。車で走っていたら画が標識のようにありましたっけ。
Posted by よこお じゅん at 2011年02月25日 21:38
じいさま>
次から次って・・、一つしか書いてないでしょ!ヽ(`Д´)ノ
それから、本文は私の実体験とは一切関係ありません。
私は全国一万人の愛人たちに囲まれて何の苦労もなく暮らしています。

よこおさん>
2年くらい前ですが、NHK-BSの「漫画夜話」でルパン三世(旧)をやっていました。
全部録画して永久保存版にしました。
やっぱり旧はいいです。みんないいけど、不二子ちゃんが特に素晴らしいです。
北海道出身の漫画家は意外と多いですよね。
Posted by あらき at 2011年02月25日 23:30
最初のルパンのアニメは、確か1年どころか半年で終わっちまいました。全部で23話くらいしかないはずです。
で、ティーンエイジになってから新作の赤ルパンを見たときの落胆は、そりゃ大きかったですよ。なにしろ絵が違う!
当時は同じキャラデザインで再開されるものとばっか思ってましたから。
そういやぁ、70年代後半から80年代初めにかけてリメイクされたアニメは、巨人の星もエースをねらえ!もタイガーマスクも、みんな旧作と絵柄が変わっちまってて、見るたびにがっかりしてました。
赤ルパンもそのうち昔の面白さが戻ってくるだろうと、毎週毎週期待してはハズされてたんで、そのうち見なりまして、上の話も見たかどうか記憶がない。なんであんなものが3年も続いたのだろう(赤ルパン世代は、新作の方が好きって向きもいるようですが)。まあ、劇場公開されたマモーやカリオストロ、そしてアルバトロスや最終回は面白かったですけど、それ以外は未だに面白かったルパンは(私個人として)1本もなかったですね。最近じゃ声優さんたちも齢とっちゃって声が老けてきましたしね。新型FIAT500に乗ってた「グリーンVSレッド」やコナンのガキと競演したやつなんて、もう痛々しくて見てられんかったですよ。舞台が現代になればなるほどアルセーヌ・ルパンの孫って設定自体が×だし(ルパン三世って70代くらい?!)、もう潮時なのかな・・・。盗みのトリックとかも仕掛けを大掛かりで派手にすりゃいいってもんでもないしな。
そんなんで、頑固じじぃと言われようが、ルパンもヤマトもガンダムも、俺ぁファーストしか見たくねぇよ! ってなわけです。
Posted by hikochin at 2011年02月26日 15:25
hikochinさん>
わたしもファーストが好きですね。
新ルパンで面白いと思ったのは、今回挙げたもの含め数作だけ。155話もあるのに。
ルパン映画は、私の中では「カリオストロ」で終わっています。(それ以降は見てません)。
ヤマトも「さらば」以降は見てないし、ガンダムもファースト以外は見てません(笑)。
80年頃は確かにがっかりリメイクのオンパレードでした。
「エースをねらえ!」とか。
でも、最近の実写リメイクは完成度が高くて嬉しいです。
次は「あしたのジョー」に期待してます。
Posted by あらき at 2011年02月26日 22:14
( ̄  ̄=)ルパンかぁ…あったあった、そういう話も…
と、遠くを見つめていたら、旧で初登場の時のとんでもないごえもんさんを思い出してしまいました。
確か、ルパン達の敵で出て来て、女好きでヘラヘラしてて…あああああ(汗)
Posted by ごまふ at 2011年02月27日 22:21
ごまふ>
そうそう。五右衛門は最初は育ちの悪いチンピラみたいな用心棒役で登場するよね。
途中から急にストイックな野郎に変貌して違和感ありました(笑)。
Posted by あらき at 2011年02月27日 23:38
こんにちは。ごぶさたしております。お元気ですか?

このルパンは来週スカパーでやるみたいですね。
スカパーなのでピンポイントになってしまうかもですが、
みられる人はぜひ。

ウチもいまだに地デジにしてませんが(笑)
スカパーはみられるので楽しみにしております。
再放送とかでは多分みたことはあると思うのですが
また新たな気持ちでみられるかと・・・・。


http://tv.so-net.ne.jp/schedule/400724201103101300.action

スカパーの番組表です。
Posted by りつこ先輩 at 2011年03月04日 22:58
あらき先生、こんにちは。こんな時ですので、もし可能でしたら楽しい文章の掲載をお願い致します。
Posted by よこおじゅん at 2011年03月19日 22:02
そうですねー。うんうん。
頑張ってみます。
Posted by あらき at 2011年03月24日 12:17

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