2013年02月16日

ビートルズのアナログ・レコードを聴く

【前々回のつづき】

前回の「憧れの団塊」を読んでくれた30代の友人の女性が面白い感想を聞かせてくれました。
彼女曰く、「荒木さんの世代にとって団塊の世代がうっとおしく見えるように、私の世代から見ると荒木さんの世代がうっとおしく見えるよ。だってね、私が小学生の頃に荒木さんたちは大学生だったんだけど、バブルまっただ中で青田買いとかトレンディードラマみたいな恋とか、30になったらやれアラサーだの、40になったら今度はアラフォーだのなにかと言えば大騒ぎして、本当に目障りな人たちだな−、って映ってたよ(笑)」 と。(笑

なるほど・・、彼女の言う大騒ぎ感はたしかに思い当たる節もないわけではありません。
で、この話しを私の上の娘(中1)にしてみたのです。
すると娘はさらに面白い感想を聞かせてくれました。
「私たちから見ると今の社会人1年生くらいの人たちがうっとおしく見えるよ。だってさ、やれ就職難だの未来のない社会に巣立っていくだの、まるで自分たちだけが世の中の不幸を一身に背負ってるみたいな騒ぎ方してるけど、あんた達に未来が無いなら私たちにはもっと無いんだよ!って言ってやりたくなるもん」 と。(苦笑

どうです? 面白いですよね。
つまり、時代を超えて人間には自分が小学生くらいの時期の大学生くらいの世代を快く思わない習性があるのですね。
0.7世代間の不幸、すれ違いとでも申しましょうか。
地道な調査によって私はとんでもない大発見をしてしまったようです。すごいでしょ?ヽ(´▽`)ノ


さて、ここからが前回の続きなのですが、最近私がハマっているのがビートルズのレコードです。
CDではありません。アナログ・レコードです。(デジタルリマスターレコードでもありません)
遅まきながら(半世紀近く遅い)この年になってビートルズの超魅力に気付きました!。
実のところビートルズは前回も書いた通り興味がないを通り越して敬遠すらしてました。
これに関しては人のせいにするわけじゃないんですが、もうひとつ言えることは、編曲されたものばかりを先に知ってしまったことも結果的に不幸だったような気もします。
オーケストラ版のヘイ・ジュードやイエローサブマリとか、弦楽四重奏やチェロアンサンブルに編曲されたイエスタデーとか・・、仕事で何十回弾いたことか・・・・
さすがにゲンナリして一生懸命演奏するのですが、ちょっと多すぎるかな〜、とか思ってなかなか原曲にたどり着きませんでした。
それら編曲物が悪いと言うつもりはけしてないのですが、今にして思えば原曲を知らずに編曲を先に聴いてしまう(弾いてしまう)ことは必ずしも良いことではない気がします。
私は1965年生まれなので現役でビートルズを知っている世代ではありません。なので、ものごころ付いた頃は世の中は既に編曲された(あるいはカバーされた)ビートルズで溢れかえっていました。

で、ここ数年クラシックのアナログレコードの原典盤、とでも言うんでしょうか、再リリースされたものではなく原産国で最初にプレスされた版を集めていて、例えばグラモフォンでも発売当時にドイツで売られた物と日本版では音が違うし、その後レゾナンスなど廉価版になったものはさらに音が違うし、デジタル化されて再発売されたCDに至ってはもうかなり違って聴こえます。
少なくとも私の耳には原典盤の音がもっともクリアで生々しく立体的に聴こえます。
こうしたアナログ・レコートを真空管アンプ&真空管フォノイコライザー&SPUカートリッジで聴くとそれはそれはクリアで素晴らしい音に聴こえます。
私はオーディオだけにはハマるまいと昔から固く誓っていたので、オーディオ・マニアではないのですが、自分で良い音と思える音で聴けるのは一種の快感を覚えます。

あ、ちなみに真空管を通した音はクリアに聴こえます。
真空管の話しをするとよく「ああ、真空管のボワーッとした暖かい音はいいですよね」と言う人がいますが、あなたホントは真空管の音聴いたこと無いでしょ?と思います。
真空管はボワーッと暖かい音なんてしません。クールでシャキっとした音がします。
ボワーッとした音ならむしろトランジスタの方がそういう音像のボケたブーミーな音がします。

・・・おっと、いかん。またオーディオについて熱く語るところだった。
これではまるでオーディオマニアじゃないか・・。

さて、そういうことがあって、昨年の夏頃に弟(オーディオ・マニア)がビートルズの「アビイ・ロード」のレコードを持って我が家に遊びに来たのです。
それはデジタル・リマスターされて最近再発売されたものだったのですが、聴いているうちに二人とも「こんなもんじゃないはずだよね?」という感想を持ったのです。
そして発売当時のレコードを買えないものかとネットで調べると、これはもう凄まじく広大で深淵なビートルズ・レコード・マニアの世界がこれでもかというレベルで広がっていたのです。パンドラの箱を開けてしまったかも知れないと一瞬後悔したほどです。
この辺りの事情は素人の私が話すことはなにもありませんが、一応掻い摘んで説明すると、
ビートルズが1963年当時最初に録音したレーベルは「パーロフォン」という会社です。このレーベルはレコードでは黒地に黄色の文字で"PARLOFON"と印字されています。これはイエローパーロフォンと呼ばれていて、中古市場ではY/Bと表記されています。
そして、70年代に入ってから同じパーロフォンでもレーベルのデザインが変わります。黒字に銀色の文字で"EMI"と"PARLOFON"の文字が縦にならびます(EMIはもともとパーロフォンの親会社でした)。これはシルバーパーロフォンと呼ばれており、70年代以降はこのレーベルで各アルバムが再リリースされます。
そして現在流通しているアップルレーベルに関しては私はハッキリ言ってお手上げです。68年にリリースされた"THE BEATLES"が最初のアップル作品ですが、その後有名な裁判などでこのレーベルは使われなくなり、しかし世界各国ではアップル・レーベルで各アルバムが再リリースされ、90年頃から正式に復活したんでしょうか・・?。よく分かりません。リンゴのマークもおびただしい数が存在してわけが分かりません。

もっとも、わたしはマニアではないので、その辺りの事情はあまり詳しく調べていません。

ともかく、原典主義の私としては英国でリリース当時のレーベルを探せば良いわけです。
早速ネットでイエローパーロフォンのUK盤(イギリス盤)を探しました。
で、これがまた凄いことになっていて、当時はステレオとモノラルが両方リリースされていました。
そしてまた、同じUK、Y/B でも何番目の金型でプレスされたものか(マト1とかマト2とかで表記される)、同じマト(正式にはマトリクスというらしい)でも何番目にプレスされたかで価値が変わってくるのです(笑。ネットでは盤面を見てそれを解読する方法まで紹介されています。

spu

イエロー・パーロフォンをオルトフォンSPUで聴く


しかしまあ、そこまでのこだわりはディープなマニア様たちにお任せするとして、私は UK Y/B で状態の良い物を探せばそれで良いことにしました。
アルバムによって違いますが、上の条件を満たしたものはだいたい1万円以下で買えればラッキーかな、という感じです。
しかし、非常に価値のある例えばオリジナルのABBEY ROADで状態の良いものなんて30万円とか値段付いているのも見ます。
一方、例えば日本で再リリースされたアップルレーベルのレコードはどんなに保存状態が良くて人気のアルバムも数百円から千円くらいで手に入ります。

というわけで、たまたま私が最初に買ったのアナログ盤が最傑作の誉れ高い「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」だったのも良かったかもしれません。
すっかりビートルズファンになって毎日ビートルズを聴いてます。
ビートルズのサウンドにはなんとも言い難い中毒性のようなものがある気がします。ビートルズは現代の442Hzより少し低いピッチで音を作っています。心地良い安堵感を感じるのはそういうことも影響しているのかもしれません。もちろん楽曲と演奏の素晴らしさが一番の理由であることは言うまでもありませんが。
それからというもの、夜な夜なネットの中古レコード市場でUK Y/B を探しまくり、ほぼ全てのアルバムを集めてしまいました。
ステレオとモノラルが両方あると書きましたが、ステレオも良いですがやはり当時ビートルズが実際にモニターで音作りしていたモノラルが聴き応えがあります。モノラルカートリッジに付け替えて聴くと本当によい音色で鳴ってくれます。
ただ私はけしてマニアではないので、同じアルバムをステレオ・モノラル、各国盤、レーベルごと、マトリクスごとにズラーッと集めたり、そういうことだけはしないように厳に自分を戒めているところです。
ジャケット


しかしまあ、アナログ・ビートルズ・マニアが血眼になって中古盤を探すわけが少し分かりました。
最初に弟が持ってきたデジタル・リマスター盤とは全く音のクオリティーが違うように私には聴こえます。
それにしても、ビートルズに限らず古いレコードを再リリースする際になんでせっかくアナログのマスターが存在するのにデジタル・リマスターなんていう余計な処理を施してしまうのでしょうか。売れるからでしょうか。
近年はCDとレコードの同時発売というのもポピュラー音楽では珍しくないですが、マスターをデジタルで録音している以上、いくらメディアを塩ビレコードにしたところで意味がないと思うのですが。まあ、レコードの雰囲気だけでも楽しむということなのでしょうか・・。
まあ、マニアではない私はそれほどではないですが、マニアの方達はこうしたレコード業界の暴挙に怒っているのではないでしょうか。
世の中からはやくデジタル神話がなくなればいいと思います。

ちなみに、昨年11月にビートルズのアナログレコードが再リリースされて現在市場に出回っています。
当たり前ですが定価で買えます。
私も何枚か買いましたがちゃんとアナログでした。
レコードプレイヤー持っている人は是非聴いてみて下さい。

というわけで、今日はここまでにしたいと思います。
あ、私はあくまで素人ですのでマニアの方からのツッコミはご遠慮申し上げます(w 。

そんじゃ、読み終わったら押しといてね。 ほんじゃらな!(。・_・。)ノ
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Posted by arakihitoshi at 16:30│Comments(2)
この記事へのコメント
(^_^)ノども。中学の時買ったビートルズの1枚目のLPはリンゴ印の「サージェント・ペパーズ〜」だったごまふです。ちなみに2枚目は「マジカルミステリーツアー」でした…(汗)
パーロフォンというと、いわゆる元祖というか本家というか…(°°;)話には聞いたことはあったけど、すでに伝説の部類に入っているかと…そういうもんだと思っておりました。ほぼ全アルバムとは、さすが管理人さん。違いがわかる男。(←ここで「ダバダ〜」…)

そういえば昔、知り合いの兄ィが「友人から借りてきた」という「HELP!4人はアイドル」のLPには「ローエングリンの第3幕への前奏曲」とか「トルコの軍楽隊」とか入っててすごく謎でした。「イエスタディ」は入ってませんでした。あれって…何だったんだろ。(私はソコからワーグナーを聴くようになりましたとさ)
Posted by ごまふ at 2013年02月17日 23:39
ごまふ@まにあ>
へ〜、そうだんだ・・。と思って調べたら「HELP!」の米国キャピトル編集盤にローエングリンの第3幕への前奏曲が挿入されたんですね。
UK盤には入っていません。

でも、ビートルズのアルバムタイトルの邦訳って謎。
「四人はアイドル」もそうだけど、
なんで「A Hard Day's Night」が「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ァ!」になるの!?
「A Hard Day's Night」の方がずっとカッコイイじゃん!って思います。
Posted by あらき at 2013年02月18日 01:34

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